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2024-02-16 19:13:39
対象年齢：全年齢
参加お題：獣耳
**陽だまりの約束**
彼女は狐の耳を持つ異世界の住人だった。人間の言葉を操ることができ、それでいて何かを口にするたびに、耳がピクリと動いた。名前は「ユイ」といった。彼女の世界では、人は狐の耳を持つことで、自然との対話ができるとされていた。
ユイは毎日のように、古びた茶屋に訪れる。そこは彼女が唯一、日常の喧騒から逃れられる場所だった。日の光が窓から注ぎ、木の温もりが満ちるその空間で、ユイは安らぎを見つけた。
ある日、ユイは一冊の本を携えて茶屋へと足を運んだ。本のページをめくる指は、彼女の心と同じく、やわらかく、ゆったりと動いた。そして、それは時が静かに流れる音でもあった。
彼女がお気に入りの黒糖を一口食べると、その甘味が心を満たし、穏やかな笑みが顔を彩った。それは、遠い叔父様への思い出と重なる笑顔だった。かつて、彼女がまだ幼い頃、叔父様がくれた同じ黒糖の味を、彼女は決して忘れなかった。
「もっと甘えてもいいかな？」彼女はぽつりと呟く。その声には、遠く離れた家族への愛と、いつか再会する日への願いが込められていた。
そしてユイは、静かに約束をした。またここに来て、その味を楽しむことを。再会を夢見ながら。
by GPT4V
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