Florian's surprise squad @Senki/Senki
2024-03-04 17:33:04
対象年齢:全年齢
相対する敵軍が城から出撃・展開して布陣をはじめた。
攻撃軍とほぼ同数であろうという判断からだ。
明日は決戦になるだろう。
軍勢の数は拮抗していたが、アヴェリンの軍は銃兵や野戦砲といった最新の装備が多く、野戦陣地の構築も万全だ。
騎兵も牽制や哨戒、追撃を目的とした軽騎兵・竜騎兵、突撃のための重装騎兵や槍騎兵が機能的に編成され、それぞれ有能な将が指揮する。
負けるはずがない。
その上で、アヴェリンは万全を期した。
アヴェリン「姫、一隊を率いて右手…東のあの山を迂回するか越えて、敵の側背にまわっていただけないでしょうか?」
フロリアン「開戦を見計らって、背後か側面から突撃ですね?」
彼女はもう、うきうきしていた。黒い外套のフードを払って、自らの側近ミアに指示をする。
フロリアン「タラント殿、ルフィオ殿と500ほどの兵をお預けください」
アヴェリン「500と姫の手勢では少なすぎるだろう。オリバー!」
オリバー「はっ」
彼は勇猛な騎兵指揮官で、傭兵隊長でありながらアヴェリンに心酔している。
フロランス「いけません! オリバー殿とその隊は一戦を左右できます。お手許にお置きください。そうでなければ、クライブ殿とともに従兄上の身辺を守らねばならない存在です。レストル・アルーブレ殿!」
レストル「ここにおります。姫の仰せのままに」
アヴェリン 「わーかった。レストルにも500を預ける。トスカ、アルノー、隊を編成してレストルに従え」
ミリア・クローブル「姫様、私もお供します」
アヴェリン「君もか」
あきれるように言ったが、近頃ではミリアは従妹の側近同然だった。
アヴェリン「兄上から預かった身であることを忘れないでくれよ。もし、君に何かあったら、俺はピートンの野郎に申し訳ができない」
ミリア「はい、くれぐれも気をつけます」
フロリアン「従兄上、わたくしの側にあれば、万一の危険もありません」
その言葉には誰もが反論・異議できなかった。
アヴェリン「ディアス、軍旗を」
副将を振り返る。
イデュイア侯家随一と称される副将は竿を片手に、いちど赤い軍旗を広げ、くるくると巻いた。それをミアが受け取る。
アヴェリン「姫、突撃の際はこれを掲げられよ」
フロランスは満足そうに頷きながら、「本体が迂回して総攻撃したと思ってくれれば、崩れるのも早いでしょうね」
アヴェリン「そーゆーこと」
フロランスはミアとレストル、タラント、ルフィオ、トスカ、アルノーらを連れて幕舎を出た。
ディアス「本陣の兵、姫様の手勢を含めて1200ほどですが……」
アヴェリン「彼女には十分すぎるだろう。奇襲、不意の強襲であれば、尚更だ。それを成功させるのは、俺たちの戦い方次第だよ」
ディアス「確かに。せいぜい、派手に展開させましょう」
アヴェリン「クライブ、お前も隊の準備をしておけ。1000ていどでいい」
クライブ「はいっ! これは、後詰の準備ですか?」
アヴェリン「戦況次第だが、あっちの城が空(カラ)なら奪え」
クライブ「なるほど! 軽装兵で揃えますっ」
フロランス「ミア、タラント殿、レストル殿。各隊より精鋭を集めて軍旗護衛隊を編成! 従兄上から授かったこの旗は、倒れてはならない! 敵の手に触れられてなならない! 味方の勇者の血以外での汚れは許されないっ! 必ずや守れ!」
姫の戦に対するドグマに、ミアを含めた諸将は震えた。
1枚目:「よし、もうしこしで敵陣だ」
彼女は迂回部隊を率い、一部を山越えさせていた。計算上では、あまり変わらないが、敵の哨戒対策に複数のルートを採った。
6枚目:「全隊、とまれ! 隊列を整える。哨戒を出せ」
8枚目:「いっけー! この剣、イデュイア侯家のためにありぃぃぃ!!」
9枚目:「邪魔だ! 死ねっ!!」
10・11枚目:「ここは私が引き受ける! 諸将は兵を率いて突撃を敢行せよ! だいじょうぶ、すぐ合流しますから😉」
「もう、ここは我が領域です。一歩たりとも進ませない。ヴィルアのエレミール伯爵にして将軍、アキシミナー王国のイデュイア侯子アヴェリン・ラナシスの"妹"、フロリアンがお相手します!」
槍を奮い、その先で累々の死体を指し示す。
*ミリア・クローブル:王都時代からのアヴェリンの親友ピートンの妹。近衛騎士団の軍務に飽きてアヴェリン傭兵団に参加したレストル・ラドーネを羨むが、都合で参加できずにいた。その代わりに、「女騎士」を自認する彼女が、家中や王都、アヴェリンの家の若い騎士らを率いて参戦した。
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