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【おなか】胎動
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【おなか】胎動
2025-02-11 00:01:00
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対象年齢：全年齢
デイリー入賞： 54 位
参加お題：おなか
私と玄葉が朝食の後片付けをしていると、壁から幽魅がひょこんと顔だけを出して現れました。
「へい、凪くん玄葉ちゃんおはよう」
「おはよう幽魅」
「おはよう、幽魅さん」
突然現れるのは珍しい事じゃないのですが、今日の幽魅は何だかちょっと雰囲気が違います。何か満たされたような顔をしているのです。
「ごめん、もう朝ごはんは終わっちゃったんだけど」
「ああ、いいのいいの。今日は朝ごはん食べに来た訳じゃないから。ちょっと見てもらいたくて」
そう言うと幽魅は、壁をすり抜けて全身をリビングの中に入れました。すると嫌でも目に付くのは、大きく膨らんだお腹。こ、これって・・・。
「幽魅・・・それ、どうした・・・の・・・？」
「やだなー、凪くんってば。分かってるく・せ・に♡」
分かってる？何を？
「星空の下で一つになったあの夜を忘れちゃう訳ないよねぇ、凪くん？」
星空の・・・ああ、あの幽魅が寝袋になってくれた時の。えっ、じゃあもしかしてその時に！？
「幽魅、じゃあ！」
「うん、おめでたです！」
私と幽魅は抱き合って喜びを分かち合います。・・・幽魅、ちゃっかり胸とお腹をすり抜け設定にしてるな。正面から抱き合ってるのにおっぱいとお腹の感触しないもん。
「きっと私たちに似て可愛い子供が生まれるよ、凪くん！」
「今の内に名前を考えておかないとね。男の子でも女の子でもいいように両方ね」
きゃっきゃっと騒ぐ私たちでしたが、そこに玄葉が冷や水のような一言。
「で、いつまでその茶番やってんの？」
私と幽魅はぴたりとはしゃぐのを止めて、落ち着きを取り戻しました。
「玄葉ちゃんノリ悪ーい」
「まあまあ。で、幽魅。実際のところそれどうしたの？」
「だからー、凪くんの子供だよぅ」
「もうその冗談はいいよ。この間魔法少女やってた時はそんなお腹じゃなかったでしょ？って事は時期的に考えて妊娠って訳じゃないよね。ていうか幽霊だから妊娠とかしないよね。そもそも性交渉してないしさ。私が寝てる間にしたっていうのも考えられないもん。もしそんな事してたなら今更胸をすり抜け状態にしてないでしょ。子作りまでしておいて胸触らせないとかおかしいし」
言いながら幽魅の胸を揉もうと手を伸ばしましたが、やっぱりすり抜けて触れません。確定、私と幽魅はエロい行為はしてない。幽魅はやれやれ、という顔をすると、一回大きく伸びてからしゃがみました。するとお腹が元のサイズに戻ります。幽魅は元の大きさになったお腹を撫で回しました。
「ふぃー、すっきりしたー」
「やめて幽魅さん。そんなお通じが改善されたみたいなリアクションしないで」
玄葉が露骨に顔をしかめます。幽魅のモーションからして、何かを飲み込んでああなっていたのかな。それを取り込んだって事？
「あんなにお腹が大きくなるまで何食べたのさ、幽魅」
「ん～？悪霊かな」
「「悪霊！？」」
なに、幽魅って他の幽霊とか食べれるの！？私たちの驚きをよそに、幽魅は思い出すように話し始めます。
「うん、すっごい大きい奴でさぁ。もう空一面覆うんじゃないのってくらいの黒い幽霊みたいなの。で、最初私を見るなり大きい口で丸のみにしてくれちゃったんだけどね。私も『何すんじゃー！』って感じでそいつのお腹食い破って脱出して、それから一晩掛けておにぎりにして食べてやったの」
「お、おにぎり？」
「うん。ほら、霊能力でこう、ぐぐ～って感じに圧縮して。あんまりにも大きかったからすっごい時間かかったけど、何とかコンビニおにぎりくらいのサイズまで潰してさっき食べた。そしたらお腹がパンパンになっちゃって。でもおかげでもっと霊能力はパワーアップしたかも」
何とか想像を働かせてみますが、スケールが大きすぎてよく分からない。ていうか、幽魅ってそんなに強かったっけ？
「よくそんな事できたね・・・？前は宿城の奴を吹っ飛ばしたくらいで力尽きかけてたのに」
「あー、あれから色々食べたからねぇ。食べれば食べるだけ霊力が増えていく訳だし、まあ多少はパワーアップもしますよって」
多少のレベルかな、そのパワーアップ・・・。
「幽魅さん、確かに最初見た時よりだいぶ気配が強くなってるからね。・・・というか、その大きい奴って幽魅さんの気配につられて来たんじゃないの？」
「えっ、私の？」
「うん。幽魅さんがそいつ食べてパワーアップした風に感じてるんでしょ？だったらそいつも最初は幽魅さんを食べて自分の力にするつもりで来たんじゃない？結果として逆に食べられたみたいだけど」
玄葉の唱える説、ありえるなぁ。幽霊が幽霊を取り込んでパワーアップするっていうの、漫画とかでは結構見るし。
「まあ、幽魅が無事でよかったよ。いくらもう死なないって言っても、それが幽霊同士だとどうだか分からないんだし」
「・・・いや、待ってお兄。もしかして幽魅さん、本当に何やっても死なないのかも。よく『名は体を表す』って言うでしょ。昔の人は儀式的な意味を込めてモノや行為に名前を付けたりしてたし。日本刀とかは逸話によって後から名前が変わったりするケースもあるし。それと同じことが幽魅さんにも起きてるって考えられない？・・・苗字が『藤巳』だから体も『不死身』って」
「えー、そんなダジャレみたいな事あるかなぁ？」
・・・もし幽魅が本当に冗談抜きでそういう存在になってるんだとしたら、かなり危険な存在なのでは。自分の意志で消滅しない限り不朽不滅で、大きな悪霊も倒してしまえるほどに強大な霊能力を持った幽霊。ちゃんとした霊能力者が見たら失禁して泣き叫ぶようなレベルの怪物になってない？
「あれ？凪くん、どうかした？」
今目の前にいる幽魅からは、何の悪意も感じられない。けど、もしも幽魅が悪に染まったら？人間の不愉快な面を見る事で邪悪な考えに至ったら？悪霊を食べた事で望まなくても悪の心が芽生えていたら？そんな悪い想像が浮かんできてしまいました。
「何でもないよ。幽魅にはいつまでも私たちの大好きな、明るくて優しい女性でいてほしいなって思っただけ」
私は悪い想像を振り払い、幽魅にそう告げたのでした。
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(masterpiece, best quality:1.3), illustration, (extream detailed), one girl, angel Descending
コメント
投稿
最後の顔が……
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凪の想像した「悪霊化した幽魅」ですね。そうならない事を祈ってはいますが、キャラクターがどんな話を描くのかは私にもコントロールしきれない所があるので、どうなる事やら・・・
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死んで一緒になるのか、食べられるのか果たしてどちらなのでしょうね！
幽魅と早渚兄妹の未来がどうなっていくかは、割と早渚兄妹の行動にかかっています。凪と玄葉の二人が拠り所になっている幽魅は、二人の行動に強く影響を受けるので。二人との絆が断ち切られる事があれば、絶望や悲しみからたやすく悪霊と化してしまうでしょう。そうなれば生者も死者も関係なく幽魅に捕食される可能性があります。
この兄妹が生きてるうちは大丈夫…だろうけど数十年後に果たしてどうなるか
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成仏してなかったらミリシラ様の時代にもどこかでうろついているかも？その時幽魅は一体どれほどの強大な霊になっているのでしょうか・・・
お、美味しいのかなぁ…美味しくないだろうなぁ…
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悪霊なのでおいしいとは思えませんね。ただ、霊的エネルギーは普通の食べ物の比較にならないくらいあるので、パワーアップ効率はすごいはず
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あんにゃでっかいのをおにぎりにするまで圧縮ってエゲツにゃいニャ～(TOT)
霊能力に限って言えば、もう特級呪霊ぐらいの強さはあるかも知れないです。身体能力は普通の成人女性と変わらないんですが特殊能力がヤバいタイプになってます