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【海辺の散歩】old friend

2025-05-23 00:00:00

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18

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 119 位

参加お題:海辺の散歩
俺はエリスロと別れた後、何となく海辺に来ていた。海は俺にとって、仕事の現場であり子供の頃から好きだった場所であり、そして耐え難い苦い記憶を呼び起こす場所でもある。考え事をする時は、大体海を眺めながらというのが俺のいつものスタンスだった。 「夏になれば・・・また大勢が消える、か」 洋上の豪華客船が沈没すれば、どれほどの被害が出るかは想像に難くない。あの時、俺が救えなかった人々のような被害者がまた大勢出る。今度は被害を出す側としてその場に居合わせる事になるとは、何とも皮肉が効いている。 「ん?」 シーズンオフのこの浜には、俺以外誰もいなかった。しかし何となく人の気配を感じて振り返ると、丁度一組の男女が浜へ降りようと道路からの石段を下りてきていた。デート中のカップルだろうか。距離的に俺の声は聞かれなかっただろうが、どのみち人がいては落ち着いて思案などできないだろう。俺は海に背を向けて、そのカップルの横を通り過ぎた。 「・・・深海?」 ぎくり。と心臓が跳ねた。SNSで踊っていた俺に向けた誹謗中傷の言葉たちが脳裏に溢れ出す。感情を押し殺して俺の名前を口にしたその男に向き直った。 「深海救太郎・・・だよな?」 「お前は・・・」 暗緑色の長い髪を後ろで一つに縛り、うっかりすると女に見間違えるほどの線の細さ。耳に心地よく響く独特の声質。そして手にしたカメラ。 「早渚?」 「紹介するね、向日葵ちゃん。コレ、私の中学時代の友達の深海救太郎」 「コレとはなんだ」 早渚は親指で俺の事を指さしながら銀髪の美少女に俺を紹介する。 「初めまして、鈴白向日葵です」 肩までの長さの髪をさらりと揺らし、彼女は俺に頭を下げた。 「あー、深海救太郎だ。今は少し離れた町の海難救助隊に所属してる」 「海難救助隊?えっとそれって、公務員さん?海上保安庁でしたっけ?」 「いや、海難救助隊はNPO団体で・・・簡単に言うと無報酬で海を舞台にパトロールとか救助をするグループだ。だから収入源は別にある」 正確には、元・海上保安庁の潜水士ではあるんだが。事情を知る早渚は伏し目がちにこちらを見る。・・・どうせ隠しきれる話でもないし、俺から言うか。 「お嬢さん・・・向日葵さんと言ったか。四年前にあった『豪華客船ヒアウィー号』の沈没事故を知ってるかな」 「ヒアウィー号・・・あ、何だかニュースで見た気がします」 「深海、いいの?それ話すの辛くない?」 「いいさ。ネットの妙な噂より俺が直接話す方がマシだからな」 俺は少し話を頭の中で整理してから、向日葵さんに話して聞かせた。 「俺は元々は海上保安庁の潜水士でな。ヒアウィー号が太平洋沖でエンジン爆発事故を起こしてしまって、火災を起こしながら沈没していく現場に派遣されたんだ。俺は部隊の中じゃ一番未熟でね、こんな大きな現場は初めてで緊張していた。だが、隊長や先輩たちも当然気が抜けない現場だ。俺だけ泣き言を言ってていい空気じゃなかった。だから、自分に出来る事を精一杯やろうと気合を入れて臨んだ」 あちらこちらで火の手が上がる船。何とか助かろうと自ら海に飛び込んで命を落としてしまう乗客。脱出用のボートの周りで揉める人々。まさに地獄のような現場だった。 「俺達は何とか乗客を助けようとしたが、そもそもが豪華客船ゆえに船員と乗客を合わせた数が多く、助ける事ができたのはほんの一握りでしかなかった。しかも、救助中に船内が燃えて崩れたりしたせいで、救助に出向いた部隊は俺以外誰も助からなかった。大勢の要救助者の断末魔が響く中、俺は全身に火傷を負いながらもギリギリで生還できた」 「そんな・・・」 「事故発生から沈むまでの早さを考えると、とても全員が救えないのは誰の目にも明らかだった。だが、少しマズい事になった。先に逃げのびた乗客が沈むヒアウィー号を動画に収めていたんだが、そこに船から脱出する俺の姿が映っていた。その部分がクローズアップされ、『助けを求める声を無視して自分だけ逃げるレスキュー隊員』と題されてSNSにアップされてしまったんだ。そこからは、ある意味で救助活動の現場よりも地獄だった。連日寄せられる批判の電話、記者会見で上官と共に頭を下げる俺に浴びせられる罵声、遺族の悲しみの声をよりセンセーショナルに報道するメディア、それによって更に高まる『深海救太郎を許すな』の声。俺は海上保安庁を辞めるしかなかった」 「もちろん、事故の状況を正しく伝えて深海の行動は無理もなかったっていう擁護をしてくれる人もいた。けど、犠牲者の数の多さは遺族の多さでもあるから、悲しみのあまり深海を叩こうとする人が圧倒的に多かったんだよ」 「ひどいですね。・・・でも、私も家族が巻き込まれていたら、そんな風に言ってしまったかも知れません」 「無理もない。家族や大切な人を失う痛みは、簡単に乗り越えられない。そんな時に当たり散らしやすい相手がいれば、怒りをぶつけたくなる感覚も分かる」 俺もあの事故で尊敬する隊長や先輩を失っているから気持ちは分かる。だが俺には攻撃すべき相手がいなかった。そんな時、俺の前に現れたのがオジムだった。 『君の敵は誰か一人じゃない。君を叩く人間すべてだ。何も知らず、感情のまま無責任に他人を傷つけるような愚か者たちだ。そのような醜い存在がのさばっていては、いつまでも世界は良くならないだろう。憎しみや怒りに満ちた世界は、いつかまた君のような被害者を生み出す。それを食い止められるのは君だ。私と共に戦おう』 オジムはそう告げ、俺をテロリンに迎え入れたんだ。 「まあ、俺の身の上話はそんなところだ。すまんな早渚、可愛い恋人と楽しんでる時に暗い話をしてしまって」 「あっ、いや違うよ深海!向日葵ちゃんは私の彼女じゃないよ!」 「そうですよ、どっちかというと私の妹の方が早渚さんの彼女に近いと言いますか」 この子の妹?おいちょっと待て。 「お嬢さん、失礼だが年齢は・・・?」 「私は二十歳です」 おい。俺らは三十三歳だぞ?って事はだ。 「早渚お前、自分より一回り以上も若い子を手にかけて・・・」 「かけてないよ!私まだ未経験だから!」 「一緒にお風呂には入ってたくせに」 アウトじゃねえか。そこまでやってたらもう抱いたのと変わんねぇだろ。 「あーもうその話はやめ!ほら向日葵ちゃん、新しい服のデザインを考えるのに海を見てインスピレーションを高めたかったんじゃないの!?海見ようよ海!」 「露骨に誤魔化しましたね・・・まぁ、早渚さんをいじっててもしょうがないですし」 向日葵さんは海を眺め始めた。早渚はその姿を写真に収めようとカメラを構える。変わらないな、こういうところは。 「折角だ、俺の写真も撮るか?」 「やだよ、ばーか。仕事ならともかく、プライベートでむさい男なんて撮りたくないもん」 「何だとこいつめ!」 俺は早渚と肩を組み、顎髭を奴の頬にこすりつけてやる。 「こらやめろって!すごいチクチクする!」 「あはは、男同士の友情って奴ですねー」 「助けてよ向日葵ちゃあん!」 ああくそ、俺もエリスロの事は言えんな。いつかこの二人も殺さなければならないのに。
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(masterpiece, best quality:1.3), illustration, (extream detailed), one girl, angel Descending

早渚 凪
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コメント

投稿
thi

救太郎さんの最後のセリフが怖いし、切ないです

2025-05-24 00:03:32
返信
早渚 凪

救太郎は心に強い葛藤を抱えた人物です。人を救いたい信念と人に裏切られた怒りの狭間で苦しみながら生きています。 これからの事件の中で、彼が救いを見いだせるのかはまだ分かりません。

2025-05-24 00:18:02
返信
うろんうろん -uron uron-

2025-05-23 23:07:13
返信
早渚 凪

2025-05-24 00:15:15
返信
五月雨

Here we go!

2025-05-23 22:02:16
返信
早渚 凪

そんな前向きな名前の船が無情にも沈没・・・

2025-05-24 00:15:11
返信
サントリナ

2025-05-23 17:53:40
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早渚 凪

2025-05-24 00:14:21
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白雀(White sparrow)

これはカメラマンさんと愉快な彼女たちご一行もやっぱり豪華客船に乗るフラグでしょうか…?

2025-05-23 07:50:25
返信
早渚 凪

フラグですねぇ。ただ、長期クルーズ旅行というワケにも行かないので「日本に停泊した際に、一晩だけ近海を少し回りながら船上パーティ」が開かれる的な話になる予定です。 船に乗るのは・・・誰になるでしょうね?全員は連れて行けないので

2025-05-24 00:14:16
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もみ

2025-05-23 06:42:22
返信
早渚 凪

2025-05-24 00:11:50
返信
謎ピカ

2025-05-23 04:37:13
返信
早渚 凪

2025-05-24 00:11:47
返信
みやび

2025-05-23 01:17:25
返信
早渚 凪

2025-05-24 00:11:41
返信

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。
基本はオリジナルキャラで、まれに二次創作作品を投稿します。オリジナルキャラに関しては、エロ系・グロ系含み完全コラボフリーですので気軽に連れて行ってください。
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