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「アイピク島の線路を追え!」 ~帝国自衛陸軍水上機動団(仮)特別調査任務~

2025-07-23 15:40:40

NovelAI

2025-07-23 15:40:40

NovelAI

50

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 11 位

ウィークリー入賞: 15 位

参加お題:スチームパンク
「少尉、その恰好、どこで拾ったの……?」  チェルキーが眉をひそめた。  スチームパンク風に改造された士官服に身を包んだブロント少尉は、真剣な表情で地図筒をぶらさげて立っていた。 スカートには謎の鋲、肩には真鍮パイプのような飾り。いつもの凛々しさはそのままに、どこかズレている。 「うむ。文献によると、この島には過去の蒸気文明の痕跡があるらしい。ならば郷に入らば郷に従え、というわけだ」 「いや、従う方向がおかしい……」  芝居がかった口調のチャーリーが、胡散臭い修道服姿で、ひょろ長い体を折りながらぼそっとつぶやく。 「くまー? 面白いからいいくま!」  熊耳の少女、プーにゃんがふよふよと微笑む。  彼らの前に延びているのは、朽ちた線路。錆びついた枕木。曲がった鉄条。  それはまるで、忘れ去られた何かへ導く道のようだった。  草をかき分け、湿気を含んだ空気の中、線路は森を抜け、丘を越え、海へと向かっていた。 「これは……なんだか妙に実用的な作りだね。軌間も狭いし……」  チェルキーが地面にしゃがみこみ、レールを指でなぞる。  レールの端には、何かを何度も通したような細い溝。  枕木はまばらだが、重機ではなく、もっと原始的な手で打ち込まれた跡がある。 「軽便規格……?」  そのつぶやきは、誰にも聞こえなかった。 「見ろ、何かある!」  ブロント少尉が嬉しそうに声を上げた。  草むらの先、海岸線に近い窪地の奥――そこにあったのは、大きな鉄製の……車輪のついた箱!!だった。  鋲と歯車の装飾を施したスチームパンク服の少尉が、目を輝かせて遺産に駆け寄る。  チェルキーはすぐに手を伸ばして制止する。 「待って!下手に触らないで。腐食してるとこある。」 「ぬう、遺産を前に手も足も出ないと!!」 ものすごく悲しそうに言う少尉をみて・・・・・・」 「しょうがないね。 ・・・・・・ こっちに工具持ってきて」 「拙僧、心得ております。なにせ鉄と油と歯車の祈祷師ですからな」 怪しく眼鏡を光らす怪人神父に。 「……チャーリーは黙って荷物だけ持ってて。邪魔になるから」 「無念」 「プーにゃんも持つくま!!」 「力仕事できたら呼ぶから!! 草でも刈ってて!! 少尉も!!」    チェルキーが道具を広げ、補助動力用のシーソー式てこを確認し、車輪の回転軸を分解・清掃し、レールとの段差を調整する。 賢者の学院卒業(初等部だけど)のチェルキーである。機械は本職ではないがなんのその。 「大したもんだ……」 「くまー!! チェチェ、がっこ~行ってただけあるくま!!かっこいいくま!」  3時間後、過去からの箱車は息を吹き返していた。 「一応断っておくけど。線路の先どうなってるか知らないよ?」 何となく、整備完了させてしまったチェルキーが言う。 「為せば成る!!なさねばならぬ何事も!!」 ドヤ顔でいう少尉に・・・・・. (この人本当に士官学校出てるのかな) 心の中で突っ込むチェルキーだった。(出てません。戦時昇進です。) 「それでは、発進!」  3人が乗り込んだ過去からの木箱が、傾斜を滑るように動き出す。 「気を付けてね~」 全く心配しているそぶりが無いチェルキーの見送りを背に。  レールは南に向かって緩やかに下り坂。風が頬をなでる。 「これは快適だな!」 「うむ、実に良い。実用性と機能美の調和、まさにスチームパンク精神……!」 「くまー!(風きもちいくまー!)」    しかし、その先にあったのは――  空。  レールは、突然途切れていた。  海へ向かって開けた崖の途中。 かつて続いていたであろう線路の名残が、半ば海中へ沈んでいるのが見えた。 「まさか……」  言葉が終わる前に、”トロッコ”は宙を舞った。 !!  空から海へ。  トロッコごと落下した少尉たちは、見事に波間へ吸い込まれていった。 ・・・・・・  そして数分後、びしょ濡れで砂浜に流れ着く3人。 「うう……これは想定外、なんで止まらないのよ……」 「拙僧の祈祷が空転したのだ……」 「くまー!でも楽しかったくまー!」    崖の上で、チェルキーが腰に手を当てて彼らを見下ろしている。 「言わんこっちゃない・・・・・・」  その足元、朽ちた標識の木片には、かすれた文字が刻まれていた。 「運搬車停止位置」 「〇〇製糖所」  誰も何も言わなかったが、たぶん全員、うっすらと気づいていた。  これは、文明の遺跡ではなく、ただのトロッコだろうと――。

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さかいきしお
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コメント

投稿
ガボドゲ

2025-07-24 08:52:47
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早渚 凪

トロッコは腐食してるのにレールの痛み方はまだ実用に耐えるくらいなのは、何者かの意図を感じる・・・

2025-07-24 01:20:27
返信
thi

2025-07-23 23:57:21
返信
うろんうろん -uron uron-

2025-07-23 23:49:23
返信
五月雨

ここだけ本当にアイピク島ですの?

2025-07-23 23:43:40
返信
白雀(White sparrow)

2025-07-23 22:34:33
返信
white-azalea

2025-07-23 22:09:34
返信
クマ×娘 D.W

2025-07-23 22:08:31
返信
gepaltz13

2025-07-23 21:05:13
返信
takeshi

2025-07-23 20:53:47
返信
Ken@Novel_ai

2025-07-23 20:44:32
返信
へねっと

2025-07-23 20:10:26
返信
Kinnoya

少尉殿は、博学だ👍

2025-07-23 20:05:31
返信
翡翠よろず

2025-07-23 19:54:44
返信
もみ

2025-07-23 18:54:08
返信
ucchie2772

2025-07-23 18:49:59
返信
なおたそ

2025-07-23 18:48:40
返信
Anera

2025-07-23 18:10:04
返信
えどちん

やはりトロッコはロマン

2025-07-23 17:12:14
返信
みやび

農業用の痕跡だとしたら島原産のサトウキビを使ったドーナツとか作れるかもしれんのう~?

2025-07-23 16:44:57
返信

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