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【ブローチ】リストラと女子高生とマグロ

2025-09-22 00:00:00

zukiAnimeILL v5.0

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2025-09-22 00:00:00

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18

対象年齢:軽度な性的描写、流血表現あり

デイリー入賞: 92 位

参加お題:ブローチ
その日の私はひどく疲れた足取りで退社し、帰宅するために駅に向かう飲食店街を歩いていた。疲弊の理由は・・・高卒から四十代まで、長年営業マンとして勤めた会社からリストラを宣告されたからだ。ろくに昇進もできなかった私は、最早この歳からでは現在より好条件の就職などできようはずもない。妻がおらず、扶養すべき家族がいない事はまだ救いがある要素だが。 「はぁ・・・」 ロクに前も見ず歩いていた私は、誰かにぶつかった。はっと我に返ると、歩きスマホをしていたらしい女子高生と目が合った。これはまずいかもしれない、下手をすれば痴漢扱いされて会社の評判が・・・いや、もういいのか。クビにされる事は決まっているのだから。 「すまない」 「あーいいよ、ウチもスマホ見てて気づかなかったからさ。てかおっさん、酔っ払い・・・じゃなくね?めっちゃ顔青いし、死んだ魚みたいな目してるじゃん」 見た目の派手さから察せたように、物怖じせずに私に言葉を投げかけてくる。黒いマスクで表情はよく分からないが、私とぶつかった事に不快感を感じてはいないようで少し安心した。 「なに、もしかしてビョーキとか?救急車呼んだ方が良さげ?」 「いや・・・心配しないでいい。ただ会社をクビにされて落ち込んでいるだけだから」 自分で言葉にしたら、無意識に重く長い溜息が口から出て行った。その吐息で、私の顔を覗き込んでいた彼女の前髪が揺れる。しまった、口臭は大丈夫だっただろうか。営業の時は気を付けていたが今はどうだったか。 しかし、彼女の方は特に気にした様子も無かった。意にも介さず、今度はスマホに目を落として少しばかりいじっている。もしかして、会話は終わりでもう立ち去っても良いのだろうか。私は彼女に会釈して、小さく「じゃあこれで」と呟いて歩き去ろうとした。 「ちょ、待てよおっさん」 呼び止められてしまった。やはり詫びでも要求されるのか。気の重い表情で彼女の方を振り向く私に対して、彼女は言葉を続ける。 「ウチさ、今夜ドタられてヒマしてんだよね。おっさんさ、マグロでも良かったら食べてく?」 彼女は自分自身を指差しながらそう言ってのけた。マグロ?食事の誘いだろうか。この子の見た目からして料亭は考えにくいから回転寿司とかかも知れないが、そもそもいきなり過ぎて少し怖い。 「美人局かい・・・?」 「ツツモタ・・・何?」 「ああ・・・つまりね、若くて美人な女性がターゲットの男性に声を掛けて、親密な雰囲気になったところでその女性の彼氏役として怖いお兄さんがやってきて『俺の女に何してるんだ、慰謝料払えや』みたいな話に持っていく儲け方をする人たちだよ」 「あー聞いた事ある。てか違ぇし、普通に誘ってんだけど。このまま帰したらおっさんそのまま駅のホームからダイブかましそうな顔してんだもん」 そんなに自殺志願者みたいな顔をしていたか。冴えないとはいえ、営業マンとして生きて来た私がそんな心配をされるとは、いよいよ地に堕ちたものだ。 「おっさんさ、若い女子とは経験ないっしょ?一回やったら自信出てくるって」 「そういうものかねぇ」 確かに社会人になってから女子高生と食事に行った経験なんてないが、そんなに変わるものだろうか。 「あ、もしかしてお金ない感じだったりする?ん~・・・ま、いっか。安くしとくからさ」 「いや手持ちはある・・・はぁ、もういいかぁ。案内してくれるかい?」 まぁ、どうせ落ち込んでいても事態は好転しないのだし、ここはマグロでも食べて気を取り直して今後の事を考えよう。そう思った私は彼女について行く事にした。 「りょ、一名様ごあんな~い」 平坦な調子で彼女はそう言って、細い路地に入った。後に続きいくらか歩くと、薄暗いホテル街に出てしまった。こんなところに店があるのか・・・?いや、食事の出ない安宿もあるわけだから需要もあるか。この時の私はそう考え、時折こちらを振り向く彼女と他愛もない話をしながら夜の闇に消えたのだった。 それから数年後、私は営業マン時代の人脈を生かして会社を興し、社長になっていた。まだ小さな会社だが熱意ある部下にも恵まれ業績は現状右肩上がりを続けており、私自身にも見合い話が舞い込んでくるようにもなった。それもこれもあの夜経験した事で肝が据わり、多少の事では動じない精神力や、大胆な行為もやろうと思えばできるという自信が生まれたからだ。その振る舞いが他者の目には魅力的な人物として映っているらしい。 名前も聞かなかった彼女とはあの夜以降一度も会っていないが、私はあの夜食べさせてもらった『マグロ』の味を一生涯忘れないだろう。
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(masterpiece, best quality:1.3), illustration, (extream detailed), one girl, angel Descending

早渚 凪
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コメント

投稿
T.J.

2025-09-24 21:54:35
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thi

似た話ではないのですが中年スーパーマン左江内氏の「噂にきいたツツモタセ」を思い出しました、気がついたら左江内氏より年上になっている私にこんな人生の転機はないですね😅

2025-09-23 00:12:07
返信
早渚 凪

「噂にきいたツツモタセ」調べてみました。確かに似た話ではないですねw 今の時代、40代後半以降でもその気になってメンズエステやトレーニング、ファッション選びやトークデッキの拡充などの自分磨きをすればかなり魅力はアップできそうです。このお話の主人公であるリストラされた営業マンも、営業職であるがゆえに自分磨きは欠かしていなかったのでしょう。それでもこんな風に心配してくれる優しいギャルに出会えるかは運しだいですが・・・

2025-09-23 00:32:18
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白雀(White sparrow)

マグロ拾いのバイトという都市伝説がありまして,マグロ=電車に飛び込んだ仏さんの隠語だそうですが,このおじさんはマグロ(意味深)になりそうなところをマグロちゃん(もっと意味深)に助けられたわけですな。

2025-09-22 22:43:44
返信
早渚 凪

よくお気づきで。その通りで二つの意味のマグロをかけているお話です。ちなみにマグロちゃん(仮名)は肌が浅黒いのでクロマグロだとも言えます。もちろんぴっちぴちです。

2025-09-23 00:18:36
返信
五月雨

2025-09-22 20:28:37
返信
早渚 凪

2025-09-22 21:54:26
返信
Anera

2025-09-22 07:57:27
返信
早渚 凪

2025-09-22 21:54:22
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もみ

2025-09-22 06:07:55
返信
早渚 凪

2025-09-22 21:54:18
返信
gepaltz13

2025-09-22 00:32:04
返信
早渚 凪

2025-09-22 01:40:29
返信
翡翠よろず

2025-09-22 00:23:31
返信
早渚 凪

2025-09-22 01:40:17
返信

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。
基本はオリジナルキャラで、まれに二次創作作品を投稿します。オリジナルキャラに関しては、エロ系・グロ系含み完全コラボフリーですので気軽に連れて行ってください。
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