※1枚目の画像はリアル調の蜘蛛が苦手な方に配慮してイラストとしました。2、3枚目はリアル調の画像となるため苦手な方は閲覧に注意して下さい。 ミリシラ達の世界で一部の層に人気の魔道具。本物の蜘蛛ではなく作り物、つまりはゴーレムである。サイズは通常のタランチュラ相当だが、人間の頭部と同等のサイズの巨大版も存在する。 動力は持ち主の生命エネルギーで、一日一回持ち主を甘噛みしてエネルギーをわずか数キロカロリーだけ吸収する。何日か吸収できなくてもエネルギーは枯渇せずに動作できる非常に低燃費な優れものだ。 なぜこの形状なのかと言うと、マニア向けではなく機能性とそれを実現するデザインを突き詰めた結果である。それぞれ理由を解説していこう。 まずは鍵の紛失防止である。ポケットなどに鍵を単品で無造作に入れておくと、落ちてしまう事は少なくない。動きの激しい冒険者なら尚の事だ。かといってカバンに入れておくと、すぐに取り出して使えない。 そこで、このキーホルダーの出番だ。これは鍵を付属の糸に結び付ける事で鍵が無くなるのを防ぎ、さらに八本の足で持ち主にしがみつくので激しいダンスを踊ったりしてもキーホルダーごと落ちる事もない。 もちろん攻撃を受けたりして弾き飛ばされれば別だが、その場合はスパイダーキーホルダーが自ら鍵を引きずりつつも持ち主の元まで高速で駆け戻る。馬車の車輪や鳥の攻撃も自動で避けつつ戻ってくるのだ。 例外は持ち主自身の手で持ち主から引きはがされた場合であり、その場合は棚に置かれようがゴミ箱に捨てられようが大人しくしている。持ち主が再び身に着ければ追従機能も再起動する。 次に鍵を使いたい時の使い勝手だ。従来品ではわざわざ大きなキーホルダーごと鍵を取り出し鍵穴に使う必要があった。しかしこのスパイダーキーホルダーであればその必要性はない。 鍵だけを手に取って引っ張ると、蜘蛛の糸はするすると伸びていきキーホルダーはついて来ない。鍵穴に使った後は手を離せば、蜘蛛が鍵を素早く手繰り寄せてくれる。リール式キーホルダーと同じだ。 また、いくつもの鍵を同時にスパイダーキーホルダーに付けても問題ない。目の前の鍵穴にふさわしい鍵を蜘蛛が選び、取りやすいように持ち上げてくれる。至れり尽くせりだ。 このゴーレムは非常に高性能な知能と認識能力を有しており、似た鍵が多いホテルの客室の鍵を大量に付けたとしても正確に目の前の部屋の鍵をチョイスする。取り違える事は無い。 最後に防犯性の高さだ。当然の事だが、鍵は盗まれてしまえばセキュリティ性が全く信頼できなくなる。そこでスパイダーキーホルダーには盗人対策機能が備わっている。 スパイダーキーホルダーがぶら下げている鍵に、持ち主の許可を得ていない人間が手を出せば、スパイダーキーホルダーは俊敏な動作で飛びつき毒牙を突き立てる。注入するのは麻酔の魔法薬だ。 現実のタランチュラとは違い強烈な効き目であり、噛まれると手が腫れあがり指先がジンジンと痺れ、まともに手の開閉もできなくなるばかりか痛覚神経が非常に過敏になる。 そんな手では当然スリなど不可能で、盗人は諦めざるをえない。時間経過で後遺症なく完治するが毒ではなく魔法薬ゆえに抗体ができにくく、再び噛まれたらまた同じように症状が出る。 この防犯機能は持ち主がスパイダーキーホルダーを身に着けていなくても発動し、着替えや入浴のためにスパイダーキーホルダーを一時的にどこかに置いておいたとしても安心だ。 上記の機能は『鍵を使う上で困る事』をアンケートした結果を元にして実装された、いわば開発者の心づくしである。そしてそれを完璧に実現するデザインが蜘蛛だったのだ。 もちろん高性能なので価格も決して安くない高級キーホルダーであるが、こと性能面においてはこれ以上ないくらい優れた逸品でもあるため愛用者も多・・・多いとは言えない。残念ながら。 そう、このスパイダーキーホルダーのネックは価格ではない。何よりもまず、その外見なのだ。虫や節足動物が嫌いな人間にとっては、自分の体にしがみついてくるこれは恐怖でしかない。 たとえ自分が蜘蛛に抵抗感が無かったとしても、ビジネスの場で会う相手がそうであるとも限らず、ゆえにフォーマルな場での使用が憚られるのもよろしくない。だからあくまで「一部の層に人気」に留まるのだ。 逆に蜘蛛マニアにとっては必携アイテムであり、巨大蜘蛛に抱き着かれたいマニア向けに巨大版も製造される始末である。巨大であっても機能や燃費は変わらないが、体積ゆえに携帯性は落ちてしまう。 いずれにしても、TPOをわきまえて使いたいアイテムではある。開発者は現在、機能を保持したまま万人受けする外見を考案しているようだが中々いいものが思いつかないらしい。 ※こんなアイテムを思いついた経緯は以下の通りです。 キーホルダーについて考えを巡らせ、お土産コーナーの「金色の剣」のアレとか思案してましたがピンとこない。 ついでに「なんとか近々のお題で自然にOnHeadできないかなー」と考えていた時に「エイリアンシリーズのフェイスハガー型のキーホルダーとかOnHeadに最適じゃない？」という恐るべき天啓が。 早速Bananaで生成を試してみたのですが、どうも普通のエイリアンになってしまってフェイスハガーが出てこない。しかも上手くキャラの顔に貼り付いてもくれない。 しかし諦めきれない、せっかくの天啓なので何とか形にしたい。そんな時、「エイリアンは一種のパニックホラーだし、同じジャンルの巨大蜘蛛でもシルエット似てるし行けるだろ」と思いつく始末。 蜘蛛なら生成は簡単ですし、しかもフェイスハガーと違って顔に張り付けなくても頭に乗せられればいいんだから全く難しくない。ついでに糸という特徴でリール式キーホルダーとも絡められる。 もうこれしかないという事で、今回のスパイダーキーホルダーは誕生しました。巨大版が存在するのはフェイスハガーの名残なのです。 ただそれだけだと「蜘蛛が頭に乗っている」だけのイラストにしか見えないので、リアル調のスパイダーキーホルダーも生成してイメージしやすくしておきました。 ちなみに1枚目画像は元画像に「キャスケットを被ったラファエル」を生成して、その後Bananaで編集したものです。キャラがラファエルなのは消去法ですね。 ミリシラ世界で巨大蜘蛛にもきゃーきゃー言わなさそうなのはラファエルとヴァニラで、ヴァニラはウサ耳が蜘蛛の邪魔になると思ったので。あとヴァニラは存在自体がR-15になるし。 おかげでOnHeadにもできました。ただ、大多数のOnHeadが可愛い系や癒される系なのに対して、こいつは蜘蛛マニア以外の人の恐怖感や嫌悪感を強く誘発するおそれがありますので、人を選びますね。