【ネクタイ】7年越しの再会
2025-10-01 00:00:00
zukiAnimeILL v5.0
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対象年齢：全年齢
デイリー入賞： 46 位
参加お題：ネクタイ
今日は月曜日。僕はいつものように蛍さんに『これからジムにお邪魔します(*^▽^*)』ってメッセージを送ったけど既読がつかない。とりあえずジムに到着して、中を覗き込むと蛍さんの姿が。でも今日はいつものジャージじゃなくてスーツ姿だった。
「・・・という状況ですわ。現状、経営は好調と言えますわね」
「安心しました。蛍様がオーナーとして手掛ける初の事業ですから、総帥も私も気にしていたんですよ」
もう一人、女の人がいる。今日は何かの打ち合わせがあって、それでメッセージが読めなかったのかも。来たらまずかったかな。
「・・・って、あの人は」
記憶の中よりも髪は短く切り揃えていて、少し落ち着いた印象になっている。服装もメイド服じゃない。だけど。
「花梨お姉ちゃん！？」
僕が叫ぶと、二人も僕に気付いた。
「あら、羽佐美さん。ごきげんよう」
「羽佐美・・・えっ、もしかしてサイバ君！？」
僕の事を知っている。やっぱり花梨お姉ちゃん・・・桜一文字花梨さんだ。こうして会うのはもう7年ぶり。
「桜一文字さん、羽佐美さんの事をご存じで？」
「はい。彼が小学生の時に知り合ったというか・・・サイバ君のお父さん、あの宿城サイトなんで」
「宿城サイト！？晶お姉様に本性を隠して婚約を迫った、あの腐れ外道の宿城ですの！？」
蛍さん、僕のお父さんの事を知ってたみたい。まぁ、それはそうか。あの一件が金剛院家の中で話題になってない訳無いもんね。花梨お姉ちゃんは蛍さんの言葉に少し眉をひそめた。
「あの、蛍様。サイバ君の前であまり宿城の事を口汚く表現するのはいかがなものかと」
「あ、あら。申し訳ありませんでした、つい・・・失礼いたしました、羽佐美さん」
「いえ、良いんです。僕のお父さんが悪い事をしてた人だって言うのは知ってますし、お母さんもまだ許してないので」
少し複雑だけど、金剛院家の関係者の皆さんにはすごい迷惑をかけたと思うし、こればっかりは仕方ないと思う。でも花梨お姉ちゃん、僕の事を気にして蛍さんをたしなめてくれるなんてやっぱり優しい。
「サイバ君、大人な対応になってるね。そっか、もう中学生だもんね。身長も伸びてたし、髪型も変えてたから一目で気付かなかったよ」
「髪型はあのままだとお父さんに似てて、お母さんが嫌がるからこうしてるんだ。花梨お姉ちゃんの方はどう？あのお付き合いしてたカメラマンさんとは・・・」
「お付き合い？わたくし、桜一文字さんに彼氏がいたとは初耳ですが」
蛍さんが不思議そうな顔をする。花梨お姉ちゃんは少し目を伏せて静かに口を開いた。
「早渚さんは・・・テロに巻き込まれて。あのクィーン・シズムンド事件の時です」
それって、確か豪華客船が日本近海で爆発炎上して沈んだ事件だ。僕と蛍さんはそれ以上聞けなかった。これ以上深掘りしたら、きっと花梨お姉ちゃんを傷つけるだけだ。そんな空気を変えようとしたのか、蛍さんが強引に話題を切り出す。
「と、ところで桜一文字さん、随分羽佐美さんと親し気ですわね？一応言っておきますが、歳の差19は犯罪チックですわよ」
「歳は言わないで下さい！というか私とサイバ君の間には特にラブラブ系イベントとか起きてないんで！」
花梨お姉ちゃんにはっきり否定されちゃった。やっぱり僕の事なんて意識してくれるわけないかな。でも全く何も無かった訳じゃないのに。それを思い出してもらおう。
「でも花梨お姉ちゃん、一緒にお風呂入った時に恥ずかしがる僕の事を押し倒して全身丸洗いしたよね？」
「ハァ！？ちょっと桜一文字さん！やる事やってんじゃないですの！」
「だー！違います違います！それサイバ君が小学生の時の話なんでノーカンですって！」
「なぁにがノーカンですの！実際羽佐美さん覚えてて意識しまくりじゃありませんの！」
大慌てで事態を収拾しようとする花梨お姉ちゃんと吠えまくる蛍さん。なんか二人のこんな顔見るの初めてかも。
「当時7歳の羽佐美さんに何という事を！あなたがショタコンだったなんて知りませんでしたわ！」
「だから違うんですって！普通に女湯で偶然サイバ君に遭遇して、折角だから洗ってあげるって話になっただけで！」
「羽佐美さんが女湯にいたからってそんな羨ましい事をよくも・・・わたくしも当時から銭湯通いしておくのでしたわ～！」
「ちょっ、蛍様欲望ダダ漏れじゃないですか！ショタコンはどっちですか！」
「19歳差のあなたと5歳差のわたくしでは全然違いましてよ！」
「だから歳の事は言わないで下さいって！」
・・・ちょっと予想以上に大揉めになっちゃった。どうしよう、今更僕にも収められない。蛍さんは迫力ある笑みを浮かべて花梨お姉ちゃんに言い聞かせるように言葉を絞り出す。
「いいですか桜一文字さん。わたくしは今、羽佐美さんのトレーニングを見ております。彼の肉体を責任持って管理する義務があるのですわ。つまり、羽佐美さんのボクサーパンツの中身を見て良いのはわたくしだけです」
「蛍様、その発言大分ヤバいですよ！？サイバ君まだ中学生ですからね！？」
「ていうか蛍さん、何で僕がボクサーパンツ派だって知ってるんですか！？」
いつの間にか下着を把握されてる。一度も見せた事無いはずなのに。今日はもう帰ろう、せっかく花梨お姉ちゃんに会えたけどこのままここにいたら何か怖い事が起きる気がする。
「ぼ、僕今日は帰ります！おやすみなさーい！」
僕は一礼して、素早くジムに背を向けて走り出した。
「あっ、サイバ君！ほら、蛍様が危ない発言するからサイバ君が怖がって帰っちゃったじゃないですか！」
「わ、わたくしのせいだとおっしゃりたいの！？トレーナーとして、彼の下着事情を把握していて何がおかしいと！？」
背後でまた言い争う二人の声。でも、花梨お姉ちゃんが元気そうで良かった。今日はきっとお仕事でここに来てたんだろうから、何度も会えるとは思えないけど。後で連絡してみようかな。話したい事はいっぱいあるし。
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(masterpiece, best quality:1.3), illustration, (extream detailed), one girl, angel Descending
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えっ…カメラマンさんどうなっちゃったの！？
それはこの先、長編エピソードを読んでいくと分かります。ただ、ひとつ言っておきますと『中学生サイバ君シリーズ』は『カメラマン早渚凪シリーズ』のパラレルワールドではないです。 つまり、『中学生のサイバ君から見て過去に起こった事は、凪が主人公の世界でも100％起こる』事になります。今のところはその設定です。
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