「遺物兵器発掘作戦」〜列車砲とジャングルの乙女たち〜
2025-12-14 00:47:37
対象年齢:全年齢
参加お題:ターンテーブル
アイピク島の奥深く、鬱蒼と茂るジャングルの中。熱帯特有の湿気と虫の群れが、常に二人の少尉を蝕んでいた。
ブロント少尉は、金髪のポニーテールがソ連兵ヘッドギアの隙間から覗く。
背中には、ジャングル探索にしてはあまりにも過剰な装備を満載した巨大なバックパックを背負い、腰には日本刀(模擬刀)を携えていた。その瞳は、未だ見ぬ「遺物」を求め、ギラギラと輝いている。
一方、その隣を歩く若菜少尉は、普段通りのプリーツミニスカートの軍服姿。
額には汗が滲み、茶色のウェーブヘアが湿気で少し重そうに見える。
彼女のバックパックは標準的なサイズで、手にした双眼鏡は、疲労困憊の表情とは裏腹に、鋭く周囲を警戒していた。
「若菜少尉!この地形、まさに伝説に謳われる古代文明の最終決戦兵器が眠る場所だ!間違いない!」
ブロント少尉が興奮気味に叫ぶ。彼女の理論はいつも飛躍している。
「少尉、それは前回の『赤色野鶏掃討作戦』の時も言ってましたよね……。あれも結局、ただのニワトリでしたし…」
若菜少尉は、熱意に水を差すまいと努めながらも、半ば諦めたように呟いた。
ジャングル探索のたびに、ブロント少尉の「発見」に付き合わされるのが、若菜少尉の日課になりつつあった。
その時だった。密林の奥から、不自然なほど規則正しい、金属製の円形構造物が姿を現した。
それは、何十年もの時を経て、苔と蔓に覆われながらも、圧倒的な存在感を放っていた。
「な、何ですか、あれは……?」
若菜少尉が双眼鏡を構え、その巨大な物体を覗き込む。彼女の瞳が、驚きに見開かれた。
円形の土台の上には、太い線路が敷かれ、その中央には、とてつもなく巨大な、そして錆と植物に侵食された列車砲が鎮座していた。
砲身は空を睨み、その威容は、ジャングルの生命力さえも圧倒するかのようだ。
それは、まさに、太古の戦場を夢想させる遺物だった。
「おおおおお!!!」
ブロント少尉の興奮は最高潮に達した。彼女は背中の巨大な荷物を揺らしながら、日本刀の柄に手をかけた。
「若菜少尉!見ろ!これこそが伝説の旋回式超重砲!我が軍の火力不足を一気に解消する究極の遺物兵器だ!
このターンテーブルの構造から見て、360度全方位への攻撃が可能…まさに、このアイピク島を要塞化する夢の兵器だ!!」
若菜少尉は、その巨大な列車砲と、目の前の司令官を交互に見比べた。
そして、彼女の頭の中に、
**「これを動かす線路はどこから来たのか?」
「そもそもこの島に誰が持ち込んだのか?」
「これをどうやって動かすのか?」
「というか、これ、実戦で使えるの…?」**という疑問が、嵐のように駆け巡る。
「……(また、とんでもないものを発見してしまいましたね…)」
若菜少尉は、疲労困憊の顔で、ただ静かに、その巨大な遺物兵器を見上げていた。
ブロント少尉の新たな「作戦」が、今、始まろうとしていた。
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