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機密事項はキラキラの中に
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機密事項はキラキラの中に
2025-12-16 02:50:55
対象年齢：全年齢
参加お題：手帳ステッカー
静かな夕暮れのオフィス。書類整理に追われていた福井候補生は、ふと視線を感じて顔を上げた。
視線の主は、向かいの席に座る若菜少尉だった。彼女はいつも通りの愛らしい笑顔を浮かべていたが、その瞳の奥には、何かを企んでいる時の特有の光が宿っていた。
「おや、福井候補生。まだお仕事ですか？ 精が出ますねぇ」
「は、はい。少尉もお疲れ様です。あの、何か……？」
若菜少尉はフフッと笑うと、手元にあった一冊のノートを、わざとらしく福井の目の前に滑らせた。
それは、軍の支給品とは到底思えない代物だった。表紙はピンクや水色のパステルカラーで彩られ、キラキラ光るラメや、可愛らしい猫のキャラクターシールでデコレーションされている。まるで女子学生の交換日記のようだ。
「これ、私の新しい手帳なんです。可愛くできたから、ちょっと見てほしくて」
「はあ……手帳、ですか。ずいぶんとその、華やかですね」
福井は戸惑いながらも、上官の勧めを無視するわけにもいかず、恐る恐るそのファンシーな手帳に手を伸ばした。
「ええ、中身もとっても自信作なんですよ。ほら、開けてみて？」
促されるまま、福井は表紙をめくった。
「失礼します……えっと、今日の予定は……」
次の瞬間。福井の動きが凍りついた。
目に飛び込んできたのは、表紙の可愛らしさを根底から覆す、カオスな文字の羅列だった。
キラキラシールと花のイラストの隙間を縫うように、禍々しい赤ペンで殴り書きされた計画の数々。
『12/20 富士見軍曹精神崩壊計画：ミニスカ写真散布』 『リゼット少佐ハッキング予定：論理値F（失敗確実）』 『赤ペンで描かれた、狂気じみた笑顔の落書き』
「…………え？」
福井の思考が停止した。可愛らしい猫のシールが、「精神崩壊」という単語の横で無邪気に笑っている。この認知的不協和は、真面目な彼の脳の処理能力を遥かに超えていた。
彼がガタガタと震える手で眼鏡の位置を直し、信じられないものを見る目で顔を上げると――。
そこには、まさに**「計画通り」**と言わんばかりの、完璧な小悪魔の笑みを浮かべた若菜少尉の姿があった。
彼女は人差し指をそっと自分の唇に当て、凍りついた福井を見つめて、とびきり楽しそうに囁いた。
「ね？ 中身もとーっても、エキサイティングでしょう？ うふふ」
福井候補生は、音もなくその場に崩れ落ちそうになるのを、必死で机にしがみついて耐えた。
（この分室は……見た目に騙されてはいけない場所なんだ……！）
カオス分室の洗礼を、身を持って（しかも視覚的に）叩き込まれた瞬間であった。
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駄目だ この組織・・・ 早く、何とかしないと・・・
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