聖夜前のサイバー・タクティクス
2025-12-20 13:32:38
対象年齢:全年齢
参加お題:メカ義手
雪が舞い散る冬の街は、クリスマスのイルミネーションで彩られ、人々で賑わっていた。
「ちょっとアンジェラ!もう少しゆっくり歩いてください。この買い物袋の量、見てます?」
若菜 栞少尉の抗議に、アンジェラ・ミカエラ・ブロント少尉は「おっと」という顔で振り返った。
「あはは、すみません栞!つい歩くペースが任務っぽくなっちゃいました。でも見てくださいよ、この街の活気!戦場とは大違いで、なんだかワクワクしますね!」
アンジェラは白いファーのコートを翻し、金髪のポニーテールを揺らして笑った。
隣を歩く栞は、自身の茶色のウェーブヘアを直しつつ、呆れたように微笑む。
「相変わらず元気ですね。あなたの体力はどうなってるんですか」
二人が玩具売り場を通りかかった時、アンジェラの足がピタッと止まった。特設コーナーのガラスケースに、一際メカニカルなデバイスが展示されていたからだ。
「……ねえ、栞。あれ、見てください。最新のサイバーアーム型デバイスですよ。えっ、これって我々の訓練機より精度高くないですか? 開発チームの極秘プロトタイプが流出したのかもしれませんね……」
アンジェラは目をキラキラさせ、ガラスケースに顔をくっつけんばかりに覗き込んだ。
「『これを使えば君もストリート・サムライ』……? なるほど、サムライ級の反射神経を要求する訓練機ということですね。面白いじゃないですか!」
「アンジェラ、あれはただのゲームですよ……」
栞の制止も耳に入らず、アンジェラは「軍人として、この性能は見極めておかないと!」
と謎の使命感に燃え、コートを栞に預けて筐体の前に陣取った。
「よーし、システム起動!殲滅開始ですよ!」
口調は丁寧なままだが、コントローラーを握った瞬間、その目つきはガチの「エース少尉」に変貌した。
「そこっ! 甘いですよ、右の増援も見えてます!」
「COMBO!!」「MAX SCORE!!」
正確無比なトリガーハッピー。
リロードの瞬間すら見えないほどの神速プレイに、周囲の子供たちが「お姉ちゃん、やばい!」「最強のサムライだ!」と色めき立つ。
「ふふん、このアルゴリズム、なかなか攻略しがいがありますね!」
楽しそうに、けれど本気でハイスコアを叩き出すアンジェラの姿を、栞は大量の荷物を抱えて見守っていた。
「……はぁ。もう、あの子ったらどこでも全力なんですから。でも、あんなに楽しそうなら、まあいいですね」
ゲームセンターを制圧(?)し、圧倒的なスコアを残した二人は、落ち着いた雰囲気のカフェにいた。
「ね、言った通りでしょう? ここのココア、最高に美味しいんですよ!」
アンジェラは満足げにココアをすすり、口の端に泡をつけたまま笑った。
「はいはい、杏樹。口に泡がついてますよ。……でも、さっきのゲーム、本当に凄かったですね。子供たち、本物のヒーローを見る目をしてました」
「でしょう? でも、あのデバイスのフィードバック、もう少し改善の余地があると思うんですよね。明日、開発部にレポート出しましょうか」
「……アンジェラ。今日は『オフ』。レポート禁止です!」
「あはは、そうでした! すみません。じゃあ、次はこのショートケーキの『攻略』に移りましょうか、栞!」
二人の楽しげな笑い声が、温かなカフェの中に響き渡った。
ログインするとプロンプトなどがチェックできます
※ 作品によっては掲載されていないことがあります
コメント
投稿
ダウンロード
ダウンロード
めっちゃ平和だ…。ほっこり(デート?)風景。ってまだクリスマスじゃないですよ;; てことはケイオス(嵐)の前の静けさという事か;; 当日は一体どうなるんだ;;(煽ってるわけじゃないので普通でいいです(笑)