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懐かしいとは言わない

2026-03-20 02:57:18

NovelAI

2026-03-20 02:57:18

NovelAI

42

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 25 位

参加お題:目玉焼き
助教室は、少しだけ物が多い。 棚には古い資料や器具が並び、使い込まれた机には細かな傷が残っている。 整ってはいないが、どこか落ち着く空気があった。 その静けさを、ふいに破る音。 「……ぐぅ」 一拍。 リリスは、わずかに目を細める。 何事もなかったように顔を上げるが、視線だけがわずかに逸れた。 チェルキーは、きょとんとする。 「あれ、お腹空いてるの?」 間を置かない。 「ちょっと待ってて。すぐ作るから」 返事を待たずに動き出す。 荷物の中から小さな器具を取り出し、脚を広げる。 魔力の火が灯り、青い炎が静かに揺れた。 小さなフライパン。 油が落ちる音。 卵を割る。 じゅ、と白身が広がる。 リリスは何も言わない。 ただ、その手元を見ていた。 音と香りが、部屋に満ちていく。 余計なものはない。 ただの目玉焼き。 それだけのはずなのに―― 「はい、どうぞ」 差し出された皿から、湯気が立つ。 リリスはフォークを取り、わずかに間を置く。 そして、口に運ぶ。 「……」 止まる。 ほんの一瞬。 味は単純だ。 だが、舌の奥で、何かがほどける。 視線が、ふと遠くに落ちる。 どこか、今ではない場所を見るように。 すぐに戻る。 何もなかったように。 けれど、 目元が、かすかに揺れた。 わずかに潤みかけて―― 本人だけが気づいている程度に、引き戻す。 「……おせっかいだな」 小さく、息を混ぜるように言う。 少しだけ肩をすくめて、 「……わるいな」 それだけ告げる。 フォークが、もう一度動く。 今度は自然に。 間を置かずに、もう一口。 そして、ふと。 「……少し食べたら、腹が動き出した」 視線は皿のまま。 「もう少し、ないか」 遠回しな言い方。 だが、それで十分だった。 チェルキーは一瞬だけ目を瞬かせ、 すぐに顔を明るくする。 「よかった!!」 くるりと振り向く。 「ちょっと待ってて、すぐ作るよ!」 迷いのない手。 火がもう一度灯る。 卵を割る音が、軽やかに続く。 リリスは何も言わない。 皿の上を見て、 小さく息を吐く。 その手は、もう止まらなかった。

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さかいきしお
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コメント

投稿
takeshi

2026-03-20 22:40:16
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白雀(White sparrow)

2026-03-20 21:29:18
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CherryBlossom

2026-03-20 21:20:22
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もぐっち

2026-03-20 18:08:44
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猫団子🐈‍⬛🍡

2026-03-20 17:10:44
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white-azalea

2026-03-20 15:13:02
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999fun

2026-03-20 13:46:55
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Rin

2026-03-20 12:07:42
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ai大好き1192

2026-03-20 11:24:06
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もみ

2026-03-20 10:53:14
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サントリナ

2026-03-20 08:45:41
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翡翠よろず

2026-03-20 08:36:33
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Anera

2026-03-20 06:59:38
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みやび

2026-03-20 06:51:41
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しるばん

2026-03-20 05:00:01
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ゆやおた

2026-03-20 04:09:35
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