蒼穹のフロンティア【鋼の呼吸 ― 交差する静と余裕】
2026-03-27 23:12:41
対象年齢:全年齢
参加お題:筋肉
第7機動艦隊テンペスト、トレーニングルーム。
戦場の喧騒とは無縁のその場所で、ただ鉄の音だけが規則的に響いていた。
ダンベルを持ち上げるアリシア・ヴァレンタイン。
その動きは無駄がなく、静かで、そしてどこか張り詰めている。
――戦場の記憶が、まだ抜けていない。
そんな彼女の背後から、軽い声が飛ぶ。
「おいおい、そんな顔で鍛えてたら
筋肉まで真面目になっちまうぜ?」
振り向かずとも分かる声。
ロレンツォ・バルディーニ。
いつものように、余裕の笑みを浮かべながら、同じようにダンベルを持ち上げていた。
「……あなたは、いつも余裕ね」
短く返すアリシア。
だがその声には、わずかな安堵が混じっている。
ロレンツォは肩をすくめる。
「余裕に見せてるだけさ。本気で焦ったら――終わりだからな」
その一言に、空気が変わる。
ヴォイドのエース、グロフィス・ラングレー。
“インサイト”によって先を読む存在。
あの戦場で感じた“見透かされる感覚”は、アリシアの中に深く残っていた。
だが――
「……それでも、私は前に出る」
ダンベルを握る手に、力がこもる。
「知ってるさ」
ロレンツォは笑う。
「だから俺が後ろから支える。
無茶しすぎたら、ちゃんと止めてやるよ」
軽口のようでいて、確かな言葉。
それは“鋼鉄の三角陣”を支える一角としての、揺るがない覚悟だった。
静かに鍛えるアリシア。
笑いながら鍛えるロレンツォ。
対照的な二人の呼吸が、同じリズムで重なっていく。
それは戦場に戻るための準備。
そして――
次の戦いでも、生き残るための約束だった。
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