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では、ここは拙尼に任せて──先に行かれい!!

2026-07-01 11:41:32

NovelAI

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2026-07-01 11:41:32

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9

対象年齢:全年齢

参加お題:爆発
「では、ここは拙尼に任せて──先に行かれい!!」 その声は、妙に軽かった。 だが同時に、よく通る声でもあった。 シャーリーが一歩前に出る。 長身の黒髪がわずかに揺れる。 すらりとした姿勢。 そして、どこか余裕を含んだ笑み。 「殿(しんがり)は拙尼が務めましょう」 その言葉に、誰も違和感を持たなかった。 むしろ自然だった。 彼女は“そういう役割の人間”として、そこに立っていた。 前線が動く。 撤退する味方を援護するために、数人が遅滞戦、防御線を展開する局面。 だがその瞬間、全員が見た。 ただ一人の殿が一歩を踏み出すのを。 「……前に出るのか?」 誰かが呟く。 シャーリーは、振り返らない。 「ふひひ……では、少々お付き合いを」 指先が軽く動く。 目に見えない、だけど何かの力が圧縮していくのがわかる。 それは、戦術として成立していない“何か”だった。 「退避!!」 「遮断結界!!」 敵陣営は即座に動く。 空間が歪み、圧縮され、そして一気に解放される。 爆発。 轟音が遅れて追いつく。 地面が円形に沈む。 しかし、外には一切波及しない。 完璧すぎる制御。 異常なまでに“綺麗な破壊”。 砂塵が上がる。 視界が白く潰れる。 砂が落ちる。 そこに、ただ一人立っていた。 シャーリー。 体操着は煤けている。 白い布地に黒い痕が走り、輪郭がはっきり浮かぶ。 そしてその下。 動きの中で一瞬だけ見える、紺色の運動用装備。 それは、破壊の中心にいたはずの存在が“形を保っている”という事実だけを、静かに突きつけていた。 赤いマントだけが、焦げた縁を揺らしている。 「……ふふ」 彼女は軽く肩を払った。 「少々、出力が上がりすぎましたかな」 周囲が静止する。 女子生徒たちの視線は、爆心ではなく一点に集中していた。 「……今の、直撃だったよね?」 「普通なら……跡形もないはずじゃ……」 誰かが、言葉を落とすように呟く。 「あれだけの爆発に巻き込まれて……」 「服装まで、残ってる……?」 別の生徒が息を呑む。 「……殿役って、ああいうものなの?」 沈黙。 そして、誰かが結論を口にする。 「……やはり、聖衣なのでは?」 空気が変質する。 だがすぐに、別の声が現実を差し込む。 「でも……あれ、ちょっと恥ずかしいから私は着ないわ……」 その“日常的な拒否”が、逆に神秘性を強めてしまう。 シャーリーは、周囲の変化に気づいていない。 「おやおや、皆様感銘を受けておられるご様子」 軽く笑って首をかしげる。 「ふひひ……どうやら本日の殿役も、問題なく完遂ですな」 彼女にとってそれはただの戦術結果でしかない。 だがその瞬間、学院の認識は静かに書き換わっていた。 ──あれは装備ではない。 ──“殿役を成立させる聖なる戦装束”である、と。

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さかいきしお
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もぐっち

2026-07-01 12:32:58
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