蒼穹のフロンティア【ひとくち分の、小さな勇気】
2026-07-06 01:25:59
対象年齢:全年齢
参加お題:サラダ
第7機動艦隊旗艦〈テンペスト〉の食堂。
ユナ・アストリンは、目の前に置かれたサラダをじっと見つめていた。
シャキシャキのレタス。みずみずしいキュウリ。そして――どうしても苦手なトマト。
フォークに刺したひとくち分の野菜を前に、ユナの小さな手はなかなか動かない。
「……これを食べたら、ちょっとだけ強くなれるかな」
ヴォイドが相手でも決して逃げないアリシアお姉ちゃんだって、きっと苦手なものと戦うときは怖いはず。
そう自分に言い聞かせて、ユナはぎゅっと小さな拳を握った。
「ユナも……がんばる」
覚悟を決めて、そっと口へ運ぶ。
――しゃくっ。
「…………やっぱり、やだ」
頬をふくらませ、今にも泣きそうな顔になる。
それでもユナは、ちゃんと飲み込んだ。
誰にも気づかれないような、本当に小さな勝利。
けれどその日、ユナ・アストリンは確かにひとつ強くなった。
そして次のひとくちを前に、もう一度フォークを握りしめる。
「……あと、いっこだけ」
少女の小さな戦いは、まだ終わっていなかった――。
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