シャーリーのインチキ講座:魔女外注入門
2026-08-26 02:13:16
対象年齢:全年齢
参加お題:魔女
賢者の学院、講義室。
黒い魔女帽子にローブ、手には杖。いつもと違う魔女ルックでシャーリーが教壇に立つ。
「ふひひひ……本日の講師、シャーリー・クラウンでございますぞ~。そして拙尼は――魔女ですぞ~!」
「うそでしょ。先生、魔法使ってるの見たことないですよ」
「本当ですぞ~。ほれ、このとおり。クリエイト・イメージ!」
教卓の上に、黄金貨や宝石が山積みになった財宝の幻影が出現する。
「おおっ!」
「……すげえ」
「でも、どうせ何か仕込んでるんじゃね?」
シャーリーは聞こえないふりをして、満足げに笑った。
「ふひひひ、このように拙尼は魔法を使えるのですが――魔法は皆が皆、使えるわけではありませんな。そんな場合、どうするかですが……」
「はい!! 先生のようにズルをする!」
教室が笑いに包まれる。
「ふひひ、ズルではありませんぞ~。できないことは、人に頼む。」
「人に?」
「人を集め、得意な者に仕事を割り振る。冒険者のパーティーなどは良い例ですな。前衛には戦ってもらい、魔法使いには魔法を使ってもらい、神官には治療をお願いする。自分一人で全部できる必要などありませんぞ~」
「……先生、それ、外注じゃないですか?」
「まさに外注ですな~。ただし丸投げとは違いますぞ。目的を決め、適任者に頼み、成果に責任を持つ。これがマネジメントですぞ~」
「……(やっぱ、仕込みやズルじゃね~か)」
その時、教室の扉が開いた。
「……シャーリー助教」
銀髪に和風ローブ、紫の魔法学科マント。周囲をバチバチと稲妻が走っている。
シルビアだった。
「ケティ、どこですか?」
教室が静まり返る。
「ケティですか? さあ、知りませんな~」
「……」
生徒たちは顔を見合わせる。
(ああ、また先生がケティを連れ出したんだ……)
シルビアは深いため息をついた。
「シャーリー助教。魔女っていうのは、格好でやるものではないですよね」
「……」
「魔法を使うものですよね?」
「いや、シルビア先生、話が――」
「ライトニング」
轟音とともに雷撃が直撃する。
「ふひひひ!」
シャーリーは即座にプロテクションサークルを展開。雷撃の威力を抑え、周囲への被害を防ぐ。
焦げた腕の傷も、神聖魔法の淡い光に包まれて消えていく。
「ふひひひ……魔女とは、げに、恐ろしきものなのですぞ~」
生徒たちは沈黙した。
「……先生」
「はい?」
「今、何か……本当に魔法使いませんでした?」
「神様のお恵みですぞ~」
「いや、それ魔法では!?」
その時、シャーリーのローブの中から、黒い子猫がひょこっと顔を出した。
二本の尻尾が、ふりふりと揺れる。
「にゃ」
「……ケティ?」
ケティはシャーリーを見上げた。
「魔法使ったらお腹空いたニャ。おやつよこすにゃ」
教室が静まり返る。
シャーリーは一瞬だけ固まり――
「ふひひひ……もちろんですぞ~」
こうして生徒たちは悟った。
シャーリーは、本当に魔女なのか。
少なくとも――
できないことを他人に頼む技術だけは、確実に身につけている。
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