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シャリー・ザ・レッド ―潜入任務ですぞ―

2026-09-02 01:36:48

NovelAI

2026-09-02 01:36:48

NovelAI

58

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 3 位

ウィークリー入賞: 9 位

マンスリー入賞: 29 位

参加お題:カジノ
 西部域最大の歓楽街。その片隅に、表向きは存在しないはずのカジノがあった。  招待客限定。  紹介状必須。  そして――決して口外してはならない。  そんな店に、今夜は一組の客が現れていた。  深紅のドレスをまとった、若いお嬢様。  その後ろには、狐獣人のメイドが一人。 「まあ。なんて素敵なカジノでしょう」  お嬢様は、扇子を口元に当てて微笑んだ。 「少々、遊んでまいりましょうか」 「かしこまりました、お嬢様」  メイドが優雅に一礼する。  お嬢様はテーブルへ向かい、メイドはその半歩後ろに控えた。  立ち姿も、歩き方も、話し方も。  見る者が見れば、実に自然だった。  少なくとも――この店の者たちは、二人を警戒することはなかった。  むしろ。  少し世間知らずの、金持ちのお嬢様と。  そのお付きのメイド。  それだけに見えた。  そして、お嬢様は勝ち始めた。  ルーレット。  カード。  ダイス。  最初は偶然だと思われた。  次は、運がいいのだと思われた。  だが、勝ちは続く。 「まあ。また当たりですわね」 「さすがお嬢様です」 「お~ほほほほ!」  勝って。  また勝って。  さらに勝つ。  気が付けば、テーブルの前にはチップが積み上げられていた。  やがて、店の奥から男が現れた。 「……ずいぶんと、楽しんでいただけているようですな」 「あら。ええ、とても」 「それは何より」  男は、にこやかに微笑んだ。 「それでは、お嬢様。最後に一勝負、いかがでしょう?」 背後に従うディーラーがすっと進み出る。  テーブルに置かれる、大量のチップ。  周囲の客たちが、ざわめいた。  ここまでの勝ちを、一度に賭けるような大勝負だった。 「よろしくてよ」  お嬢様は、ためらわなかった。 「では、最後まで楽しませていただきましょう」  ディーラーがカードを配る。  お嬢様は静かに手札を見る。  そして、一枚。  また一枚。  ゆっくりとテーブルへ並べていった。 「お~ほほほほ!」  扇子を広げる。 「最後は私に相応しい手ですわ!!」  客たちが身を乗り出した。 「ハートのロイヤルストレートフラッシュですわ!!」  ♥A。  ♥K。  ♥Q。  ♥J。  ♥10。  完璧な役だった。 「お見事ですな」  ディーラーが静かに言う。 「……さすがはお嬢様。見事な役です」  一瞬の沈黙。  そして。 「しかし……心されておかれるとよい」  ディーラーの口元が歪んだ。 「愛より剣の方が強いと!!」  バン!!  カードが、勢いよくテーブルへ叩きつけられる。 「スペードの――」  A。  K。  Q。  J。  10。 「――ロイヤルストレートフラッシュでございます!!」  店内が沸いた。  見事な逆転。  誰もが、お嬢様の負けを確信した。  お嬢様は扇子を顔の前に持ったまま、動かない。  その時だった。 「……」  狐獣人のメイドが、一歩前に出る。  その姿勢は、あくまで優雅だった。  そして、テーブルのキングを見つめる。 「王様が棍棒使いでは」  静かな声だった。 「騎士は従いますまい」 「……え?」  ディーラーが瞬きをする。  ♠A。  そして――  ♣K。 「…………」  ディーラーの顔から、血の気が引いた。  クラブ。  棍棒。  スペードのキングではない。  ロイヤルストレートフラッシュではない。 「ぶっ……」  沈黙。 「ぶっ、ぶた~!!」  ディーラーの心の中で、何かが絶叫した。  その瞬間。  お嬢様が、ゆっくりと扇子を下ろす。  優雅な笑顔。 「まあ」  ほんの少しだけ、口元が緩んだ。 「どうなさいましたの?」 「い、いえ……これは、その……」 「わたくしの勝ち、ですわよね?」  メイドが、にっこりと微笑んだ。 「それとも……別のカードを用意しておられたのでしょうか?」  店内が静まり返った。  ディーラーは、目の前の♣Kを見た。  確かに、あの時。  自分は――。 「おや?」  お嬢様が首を傾げた。  視線の先。  テーブルの脇。  一枚のカードが落ちていた。  ♠K。  ディーラーの目が、見開かれる。 「まあまあ」  お嬢様は、楽しそうに微笑んだ。 「スペードの王様は、そちらにいらっしゃったのですね」  狐耳のメイドも、優雅に一礼した。 「王様も、いろいろと大変ですわね」  誰も、声を出せなかった。  お嬢様は立ち上がる。 「では」  扇子を閉じる。  カチリ、と小さな音が響いた。 「このお店の奥まで、ご案内いただけるかしら?」  メイドが服の内側から、一枚の徽章を取り出した。 「違法賭博の容疑です」  一瞬。  店内が完全に静まり返る。  そして。 「官憲だ!!」  誰かが叫んだ。  椅子が倒れる。  客が逃げる。  用心棒たちが立ち上がる。  お嬢様は、ようやく笑った。 「お~ほほほほ!」  次の瞬間。  深紅のドレスの裾から、鋸歯状の刃が抜き放たれる。  **ソードブレイカー。**  その笑顔は、もうお嬢様のものではない。 「……では、追跡任務ですぞ」  背後で、メイドが静かに一礼した。 「お供いたします、お嬢様」  カシャン。  メイド服の下から現れた二本のサイが、その両手に収まる。  逃げようとした男が、短剣を抜いた。  シャーリーのソードブレイカーが、その刃を受ける。  キィィン!!  噛み合った刃を、シャーリーがひねった。  男の短剣が、床へ落ちる。  その脇を、ダキニラが駆け抜けた。  振り向きざま。  サイが別の男の短剣を捕らえる。 「危ないですよ」  ダキニラは、にっこりと微笑んだ。 「刃物は人に向けてはいけません」 「お、お前たち……何者だ!?」  シャーリーは、振り返らない。  深紅のドレスを翻し、逃げる者たちを見据えた。  口元だけで笑う。 「ふひひ……」  赤マントも。  テンガロンハットもない。  だが。 「もう尻尾は見えてますぞ」  西部域でも指折りの凄腕スカウト。  シャーリー・ザ・レッド。  そして、その隣には。  幸運神に仕える狐の神官。  ダキニラ。 「追跡任務、開始ですな!!」  二人の姿が、カジノの奥へ消えていった。  その後に残ったのは。  大量のチップと。  勝負を決め損ねた、二枚のキング。  そして。  ディーラーの魂が抜けたような声だけだった。 「……ぶた~……」

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さかいきしお
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コメント

投稿
thi

2026-09-03 21:32:08
返信
翡翠よろず

2026-09-03 08:58:10
返信
ゆやおた@休止中

2026-09-03 06:13:13
返信
Rin

2026-09-03 02:38:16
返信
早渚 凪

2026-09-03 00:32:30
返信
国道23号

2026-09-03 00:19:46
返信
tare_koala

2026-09-02 23:56:40
返信
guest

2026-09-02 22:45:00
返信
白雀(White sparrow)

2026-09-02 21:59:15
返信
kacky333

2026-09-02 16:12:13
返信
よ~みん

2026-09-02 09:42:43
返信
もぐっち

2026-09-02 07:53:19
返信
ippei

2026-09-02 07:50:37
返信
そごるん@BOOSちゃん

2026-09-02 07:24:06
返信
Ken@Novel_ai

2026-09-02 07:09:07
返信
しるばん

2026-09-02 05:31:47
返信
Anera

2026-09-02 05:25:41
返信
えどちん

2026-09-02 05:07:45
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悪堕ち最高でR

2026-09-02 05:02:13
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Raven.B

2026-09-02 04:42:16
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みやび

まったく物騒なカジノだな~🍨

2026-09-02 02:24:24
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gosakky

ぶたーーーー(笑)

2026-09-02 02:22:40
返信

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