セリヌンティウスまとめ
2025-06-14 03:30:25
対象年齢:全年齢
シラクスで真面目に、石工としてプライドをもって暮らしてた。
だが、ある日突然、悪友のメロスって奴が、自分のやらかしを王に咎められて、代わりにあたしを人質に差し出しやがった訳だ。つくづくクソい。
奴は、「戻ってくっからお前、ちょっと俺の代役頼むな」って口約束残して、勝手に帰省してやんの。
まあ、あのロクデナシを信じたあたしが悪かったんだが、当然のように戻って来ねぇ。ふざけんな。
あたしは磔刑台に上げられて、それでもワンチャン賭けたんだよ。あいつに蚊ほどの正義っていうか、人情っていうか、まあ、人として最低限のあるべき姿?
ある訳ねぇ。
あいつは人じゃねぇんだ。赤い血が流れてねぇんだ。とことんクソでゲスで、カスでゴミだったんだ。それでもまだ上等な方だ。
ところが、ここの国王がまたアホだった。
磔刑台のセキュリティがガタガタにユルい。チョロい。誰でも突破できんだろこんなボロボロな十字架。監視もいねぇし。
まあ、逃げるわな。
なんか追っ手が来てるようだが、あたしに勝てる訳ねぇだろw
走力ならあのクソメロスよりはるかに上だぜ。もう、「走れセリヌンティウス」ってタイトル変えろよw
とことん走って、どこまでも走って、逃げるのだけは得意なあたしだぜ。
だが、一度突っ走ったら限度を知らないあたし、ちょっと走り過ぎたようだ。
なんか様子が変だ。シラクスは脱出したが、一体ここはどこだ?あたしと一緒になって走ってるやつらとかいるし。楽しそうにすんなし。
やべぇ。
こんな賑やかな場所にいたら目立つだろ。大体がみんな、あたしと全然違う格好してるやん。
なんか、「ガッコー」とかいう場所らしい。「ゲンダイ」?「ニッポン」?そんなん知らんわ。
とりあえず、服をかっぱらってみた。そして身を隠す。少しは休まねぇと、この先身がもたねぇ。
だが!!!
何か変なヤツが来た!
変すぎる。メロスと違う意味で人じゃねぇ。目が血走ってる。完全にいっちゃってる。おまけにあたしの名前を連呼してるじゃねぇか!
自称メロスのニセモノ、「メロロロロロロス」。完全にやべーやつだ。王の追っ手とは違うようだが。
こんなバケモノに敵うはずがねぇ。あたしはとっとと捕まって、縛られて吊るされて、なぶられ放題。
地獄以外の何ものでもなかった。ああ、暗黒って、こういうことを言うんだな、なんてな。
でもあたしは希望を捨てなかった。勝者としてシラクスに帰ってやる!
メロスのクソ野郎に一泡吹かせてやる。王のアホさ加減を民に知らしめてやる。
とりあえず、メロロロロロロスにはあたしを好き放題させてやった。こんなんで壊れるあたしじゃねぇ。シラクスがあたしを待ってるんだ。
変態にかまってる暇は最低限でいい。
そして、あたしは、帰ってきた。
シラクスの英雄セリヌンティウスとしてな。
仕事のオファーが殺到した。面倒くせぇ。あたしの本業は石工だろ。
だが、そんな地味な仕事なんかどうでもいいくらいに注目された。悪い気分じゃねぇな。
グッズも出た。飛ぶように売れたらしいが、あたしの手元にもはした金程度は入ってくる。食うには困らねぇ。
聞くところによると、メロスの野郎は、あたしが異世界を彷徨ってる間、ただ寝てただけじゃねぇか。クズ上等。一生寝てろ。
そう思った矢先だ。
図に乗ってたあたしに、罠が待ってた。
折角いい気分で寝てたところを叩き起こされて、連行されて、またもや牢獄で拘束されて。
仕掛け人はメロスの妹。メロスのクソ野郎、帰省するとか言っていながら、妹の結婚式すらサボってたらしい。
そんなん知らんわ。あたしなんかより、てめーのクソ兄貴を恨めよ。
あたしの人生、どうしてくれんだよ。
寝てんじゃねぇ、てめーが
「走れよメロス!!!」
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