サイボーグ戦闘員と雨
2023-10-29 07:32:11
対象年齢:全年齢
『あの雲……ヤバくない?』
『うん。多分、降りそうだね』
サイボーグ戦闘員たちの心配は的中し、程なくして雨が降り始めた。
『雨だ!』
『どうしよう!?』
『落ち着いて。私たちの機体は、こんな雨程度で異常をきたすほど脆弱じゃないわ』
実際、雨粒はフェイスシールドや機体に弾かれている。だが、人間だった頃の感覚が抜けない戦闘員は、「雨に打たれる」ことへの不安を拭えない。
『どこかで雨宿りした方がいいんじゃないかな…』
戦闘員たちはそう口にするが、それが出来ないことは、彼女たち自身も理解していた。何故なら彼女たちには、「次の指示があるまで待機」という命令が与えられていたからだ。
そのため、どれほど雨が強くなってもその場から動けず、また、新たな指示を受信したなら、雨の中へと飛び出さなければならない。
こうして、雨に打たれながら、待機状態を続けていたが…
『…あ、止んだ』
『良かった…』
晴れ間が見えてきた空を見上げ、彼女たちは胸を撫で下ろした。
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