立ちんぼ
2024-01-26 22:12:42
対象年齢:R-18
「これ、は?」
彼女は恐る恐る質問した。そこに立っている機械人形の顔に、見覚えがあったのだ。
「ああ」
白衣の男が説明する。
「クラブに、期限までに返済できなかった場合は体で払う誓約書をあらかじめ書かされていたらしいよ。それで、どうも繁華街のはずれの公園で、あれだ、それこそ体売ってたらしいけど、取り締まりが厳しくなったろ」
彼女は、引き攣った顔のままうなずく。その境遇は彼女にも心当たりがある。男の言うとおり、最近は取り締まりが厳しいので思ったように稼げない。
(じゃあ、この子、たち?)
「彼女たちはまだ運がいい方だ。まあ、いいのか悪いのか・・・そこそこの見栄えがあるからね、顔そのまま残っているし、真ん中の子なんてもう買い手がついているからね」
彼女は、誓約書こそ書かされてはいないものの、やはり売掛金を払うことができず、担当に「いい返済方法がある」と言われてここに連れられてきたのだが、それがどういう方法なのかは聞かされていなかった。せいぜいどこかの風俗か、もしくは闇金の事務所あたりに連れて来られると思っていたのだが・・・
「あの、わたしは・・・」
「え、わかってて来てるんじゃないの?」
首を振る彼女。
「人間が身体を売るのは罪になるけど、機械になれば人間じゃないからね。ここへくる子はみんなそうして覚悟決めて来るんだけど」
「そんな」
彼女の足が止まる。
「君は改造素体になって、彼女たちと同じようにロボットになるんだよ」
「そ、そんな・・・聞いてない」
「困ったな、君の担当さんとウチの営業でもう契約できてるんだよね」
”譲渡契約書”が差し出される。そこには、自分の身体と一切の権利を譲渡すること、売り上げ金額から売掛金の分を担当に支払うことが書かれている。
「わたし、帰ります」
後ずさりする彼女。しかし
「ひ・・・・」
「勝手なことされちゃ困るよ」後ろから、別の二人に押さえられる彼女。
「じゃあ、ここに拇印押して」
「いや!イヤァ!」必死に抵抗する彼女。しかし、彼女を押さえた男の一人が彼女の手を強引に掴み、その、きらきらとネイルが飾られた指を朱肉に押し付ける。そしてそのまま、その横の契約書に・・・
「これで契約成立ね」
拇印の押された契約書をぶら下げ、彼女に見せる男。
へなへなと、そこへ力なく崩れ落ちるように座り込む彼女。
「じゃあ、早速改造手術だ」
声にならない悲鳴を上げながら、彼女はその奥の手術室へ引きずられて行った。
数日後、秘密のショールームの壁際に立ち姿で陳列される機械人形の中に、生まれ変わった彼女の姿があった。
「最近は公園じゃなくて、ここで立ってるのかい。汚ねぇオッサンどもの相手するよりいいだろ。フフフ」
派手なスーツを着た男が、楽しそうにその人形たちの動かない顔を一つ一つ眺めていた。
今回はかなりブラックですが、
こういう、陳列系?好きなもんで(おいおい
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