桜の木の下には・・・2
2024-01-29 07:51:21
対象年齢:R-18
「どういう、こと?」
「もう、わかんない・・・」
メリとマイは焦っていた。終電が近いというのに、公園から駅にたどり着くことができない。
行く先々が何故か行き止まりになっており、同じところをぐるぐると回っているように思えた。
「お花見は、楽しかった?」不意に、すぐ近くで声がする。恐る恐る振り返る二人。
「ひ!」
そこには、全身に桜の花をまとった女が立っていた。
「怖がることはないのよ。あなたたちも、わたしの妹にしてあげる」
女がゆっくりと近づいてくる。桜吹雪の中、二人はゆっくりと後ずさる。が、
「きゃ!」何かに躓いたのか、マイが尻もちをつく。と、
「なに?!」地面を走る木の根がまるで何かの触手のようにうねうねと動き出した。
「きゃあああ!」慌てて立ち上がろうとするマイ。しかし腰が抜けてしまったようで立ち上がれない。そのマイに木の根が絡みつく。
「マイちゃん!!」叫ぶメリ。しかしそのメリの目の前で、マイはそのまま地面に引きずり込まれていった。
(そんな)
「心配しなくていいのよ・・・あなたも同じ所へ連れて行ってあげる」
声に振り替えるメリ。いつの間にか彼女のすぐ後ろにさっきの桜女が立っている。
「イヤぁ!」慌てて走り出すメリ。しかしその前になぜか桜の木が立ちはだかる。
「なんなのよ!」立ち尽くす彼女を、こんどは桜の枝がまるで抱きかかえるように巻き付いてくる。
「怖がらないで。あなたのような可愛い子は大歓迎よ」
木の枝によって、桜の木に押さえつけられるメリ。メリはそのままうねうねと波打つ木の幹に飲み込まれていった。
「あぁぁ」艶っぽい声で、ふと目を覚ますメリ。その声はよく知っている声だ。
「マイ?」
目が慣れてくる。そこには、数人が立っている影と、立ち上がろうとする一つのシルエットがあった。
「メリちゃん」ゆっくり立ち上がったそのシルエットが、徐にメリの方に振り替える。
「ま、マイ?」
それは、マイであってマイでなかった。さっきの女とは違うが、桜色の身体・・・服なのか身体なのか、隙間のから何か機械のようなものが見える。
そのマイを、立っていた数人の影が迎え入れる。影だった者たちは、今やはっきりと見えていた。マイと同じように桜色の身体に、隙間から機械のようなものが見えている。
「メリちゃんも、すぐわかるわよ」
虚ろな顔で、まるで何かに言わされているような抑揚のない声で、マイだったものが言う。
「な、なんなのよ一体・・・」震える声のメリ。そのメリの足元が不意に盛り上がる。
「い、いやああ!」悲鳴を上げるメリ。しかし彼女はどうすることもできなかった。
桜の花びらが降り注ぎ、彼女の視界を奪う。花びらは彼女の体を覆いつくし、融合するように彼女の身体に同化していった。
(あ、ああああああ)
頭の中が、桜色に染まっていく。
(いだいなる、おーげ・・・)
自然に浮かんだその言葉を、彼女はつぶやく。気が付くと、彼女の身体は、マイたちと同じように桜色に染まっていた。
桜の生命力と、宇宙人の生態機械が融合した細胞に体を作り替えられ、そしていま彼女は意識も作り替えられようとしていた。
(いだいなるおーげとともに、このほしを、うつくしきものでうめつくす)
彼女の意識は、それしか考えることができなくなった。
生まれ変わった「美しい体」を見回すメリ。そして彼女は、そこにいる、同じ体をした者たちに加わる。
「ようこそ、桜の園へ」
最初に彼女を招いてくれたユカが微笑む。
「偉大なるオーゲと共に、この星を美しきもので埋め尽くす」
彼女たちは唱和した。これからも美しき者を仲間に迎え入れ、醜いものは抹殺していく。そして、この星を美しきもので埋め尽くすのだ。
桜女戦闘員的なのが生成されてきたので、パート2です。
結構視覚的にお気に入りです。桜女(苦笑
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