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新学期開講ッ! 魂に火をつけろッ!~ブロント少尉、候補生たちに吠える~

2025-04-05 01:13:54

DALL-E3

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2025-04-05 01:13:54

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55

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 7 位

ウィークリー入賞: 37 位

参加お題:新学期
士官学校の講堂に、新たに入隊した士官候補生たちが緊張と興奮を抱えて座っている。前に立つのは―― 年齢不詳、しかし明らかに少女のような風貌の――ブロント少尉。 一見すれば、普通の少女にしか見えない。いや、軍服に身を包んでいなければ、中学生かと見間違えるほどの童顔だ。 だが、誰もがその目つきにただならぬ迫力を感じ取っていた。 「いいか貴様らッ!!」 鋭く張り上げた声が、教室の空気を切り裂いた。 黒板の前でチョークを握るブロント少尉は、黒板いっぱいに補給線や戦場の図解を描きながら語り始める。 「命令とは、思考停止の免罪符ではないッ! 上官の言うことをそのまま鵜呑みにして死んだやつを、私は何人も見てきたッ!!」 前列の候補生が小さく息を呑む。 その内容は教本の枠を逸脱していたが、妙な迫真と説得力があった。 「お前たち、考えろ! 上官だって錯乱する! 間違う! そのときは――」 一拍置き、少尉はチョークをへし折りながら叫ぶ。 「殴ってでも指揮を奪えッ!!」 教室の空気がピキッと凍った。 一瞬、誰もが「今、ヤバいこと言ったな」と思ったが、本人は至って真剣そのもの。 「こ、こんな講義で大丈夫か……?」 後列の候補生がひそひそとつぶやく。 「いや……むしろすごいこと言ってる気もする……?」 隣の候補生が呆れたように、それでいてちょっと納得したように返す。 黒板には、山岳地帯に伸びる補給路と、それを襲撃する獣の絵。 その横に「グリズリー=対補給脅威」とまで書かれていた。 「腹が減ったらどうする!? 物資が切れたら!? 戦場に熊がいたらどうする!? 倒して喰え!!」 ブロント少尉はチョークを掲げて叫ぶ。 「それが――補給線というものだッ!!」 「く、熊……」「マジかよ熊前提かよ……」 候補生たちのささやきが教室中に広がるが、少尉の熱量は止まらない。 「そして――寝ているときこそ最も無防備で、同時に最も賢い状態だッ!」 「寝ながら敵を警戒し、食事をとり……トイレも……」 少しだけ頬を赤くして語尾が濁った。が、それすら気合で押し通す。 「――できるように、訓練せよッ!!」 (いやいやいやいやいや! 人間やめる訓練!? 何科の講義!?) (今の照れたぞ……あの少尉、照れたぞ……なに? かわいいのにこわい……) (寝ながらトイレって……なに? どういう……) あまりに謎めいた言葉に、候補生たちの視線が宙を泳ぐ。 「敬礼に迷いを見せるなッ!」 「敬礼とは儀礼ではないッ! 貴様らの戦意と覚悟を上官に叩きつける一撃だッ!」 チョークを振り下ろして少尉が吠える。 「それは貴様らの覚悟だッ! 上官が応じなければ――敬礼で突き殺す気持ちでやれッ!!」 (怖い……怖いけど、なんか、間違ってない……?) 候補生たちは困惑と同時に、なぜか妙な説得力に飲み込まれつつあった。 「最後に――私は死なぬ!!」 ブロント少尉は胸を張り、力強く言い放つ。 「なぜなら、その瞬間、敵はすでに全滅しているからだッ!!」 静まり返る教室。チョークが、黒板の上でひときわ力強く走った音が響いた。 候補生たちは呆然としたまま、ゆっくりとノートを取り始めた。 それは――何を書き残せば正解かわからないが、たしかに大事なことを聞いた気がしたからだった。 最後、少尉はにっこりと笑って言った。 「以上が“士官候補生としての心構え”だッ! 君たちの中から、何人が生き残れるか楽しみだなッ!」 その目は真剣そのものだった。 ブロント少尉が退出した直後、静まり返る講堂。 しばらくの沈黙の後、ドアがゆっくり開いて、一人の女性軍人が入ってくる。 「ただいまより、現実に即した基礎座学を開始します」 富士見二等軍曹――26歳、小柄ながらも凛とした雰囲気を纏い、タイトなスカート制服の下士官姿が印象的なその女性は、目元にかかった前髪の奥から鋭い視線を走らせた。 「まず始めに、先ほどの教官殿のお話は、いったんすべて忘れてください。よろしいですね?」 ざわっ…… 士官候補生たちは一斉に姿勢を正す。どうやら、まともな指導者が登場したことで、安心感が広がっているようだ。 「では初めに、階級制度と命令系統について説明します。軍における命令とは、各人の判断と責任の下で機能する“行動基準”であり、盲目的に従うことを求めるものではありません。命令が非合理であると判断された場合には、適切な手続きを踏んだ上で、上申・指摘・再確認のプロセスを行います」 淡々と、しかし明確に。富士見軍曹の声は澄んでいて、士官候補生たちは自然とノートを取り始めた。 「補給線とは“資材が確実に届く経路”を意味します。グリズリーを倒して腹を満たす必要はありません。現代戦では、確保された兵站こそが勝敗を分けます。野戦炊事車については後日、別の講義で学びます」 (ちょっと笑いがこみあげたが、必死に堪えた) 「最後に、戦闘中における休息――睡眠は極めて重要です。“寝ながら戦う”ことは不可能ですし、睡眠不足は判断力の低下を招きます。可能な限りシフト制の仮眠を取り、状況によってはマイクロスリープの導入も検討されます ・・・・・・ 寝ながらトイレはできなくて大丈夫です。ご安心ください 」 教室はすでに、安心と信頼の空気に包まれていた。 「以上、本日は“士官候補生としての心構えと基礎知識”でした。繰り返しますが、教官殿のお話は忘れてください。なお、“敬礼で突き殺す”のは禁止事項です」 会場が静かに笑いに包まれた。

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さかいきしお
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コメント

投稿
thi

確かに魂には火が付きました

2025-04-06 16:24:30
返信
うろんうろん -uron uron-

己が正しいと思えば敬礼で突き殺せばいいんだな! わたしの場合はうさ耳もあるから耳と敬礼で突き殺してどんどん下剋上昇進したいぜぇい!

2025-04-06 14:30:16
返信
早渚 凪

上官だって間違う!ブロント少尉を士官学校に配属したのがその証拠だ!

2025-04-06 00:43:28
返信
五月雨

少尉が某幼女に見えてきましたわ! お空飛びそうですわ!

2025-04-05 23:32:55
返信
翡翠よろず

2025-04-05 21:40:11
返信
Jutaro009

2025-04-05 21:37:06
返信
CherryBlossom

2025-04-05 21:21:01
返信
ガボドゲ

2025-04-05 15:52:03
返信
Kinnoya

うんうん、さすがブロント少尉だ

2025-04-05 10:24:55
返信
白雀(White sparrow)

戦場の脅威自体は間違ったことはあまり言ってなさそうなんですよね。ただ,その脅威への対処法が脳筋すぎて普通はできねーよって次元で

2025-04-05 08:59:37
返信
もみ

2025-04-05 08:42:53
返信
えどちん

経験者は語る?

2025-04-05 07:33:44
返信
みやび

ガッツは大事だな!

2025-04-05 02:39:57
返信
ippei

「戦場における士官の死因の二割は、部下によって殺されたものらしいですよ」

2025-04-05 02:05:37
返信

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