閃光のミラージュ【蒼き刃は、静かに目を醒ます………】
2025-12-09 02:28:06
対象年齢:全年齢
参加お題:フロアランプ
湯気が静かに立ちこめる室内。
シャワーを浴び終えた劉妃の白い肌には水滴が伝い、
室内灯の柔らかな光を反射して、まるで宝石のように輝いていた。
鏡越しに自分の視線とぶつかった瞬間、
劉妃は表情を引き締める。
“任務モード”へと心が切り替わる合図だった。
タオルを手早く体に巻き、濡れた髪を指先でとかしながら、
ゆっくりと、しかし迷いのない仕草でポニーテールへ束ねていく。
――今日も戦う。
それが彼女の選んだ道。
髪を結び終わると、ベッドの上に丁寧に畳んであった
青いチャイナドレスの戦闘服へと手を伸ばした。
光沢を帯びた深い青は、
彼女が“闇の中での象徴”として呼ばれる所以だ。
身体にぴたりと沿うように設計されたドレスを纏うと、
先ほどまでの柔らかい空気は一変し、
そこに立つのは冷静で美しく、そして恐ろしく強い――
女エージェント・劉妃そのものだった。
ホルスターにナイフを収め、
脚部に仕込んだワイヤーの状態を確かめる。
何ひとつ無駄のない動作。
彼女の呼吸すら、狙撃の精度を左右する武器だ。
最後に、赤いルージュをひと引き。
鏡の中に映る彼女は、静かに微笑んだ。
「……行くわ。」
その瞬間、
劉妃を包む空気は完全に“戦場のそれ”へと変わる。
部屋を出る前、
彼女は一瞬だけ振り返り、
シャワーの香りがまだ残る静かな空間を見つめた。
いつの日か、この手を血で汚さずにいられる日が来るのだろうか。
そんな淡い願いを喉の奥で飲み込み、
劉妃は音もなく闇へと溶けていった。
――今日もまた、彼女の戦いが始まる。
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