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ラ・ヨダソウ・スティアーナ ―回線は常に開かれている―

2026-04-02 18:40:35

NovelAI

2026-04-02 18:40:35

NovelAI

6

対象年齢:全年齢

参加お題:タコ
昼休み。 帝国自衛陸軍の食堂は、いつも通りの喧騒に満ちていた。 食器の音、笑い声、湯気。 昨日のエイプリルフールの騒ぎなど、誰も覚えていない。 ――ただ一人を除いて。 アンジェラ・ミカエラ・ブロント・轟少尉は、 テーブルに肘をつき、タブレットを見つめていた。 画面には大きく表示された見出し。 FAKE NEWS CHANNEL “TRIPODS CONTROLLED BY OCTOPUS-LIKE MARTIANS” 三脚型侵略兵器。 その内部から這い出る、タコのような火星人。 「……ああ、それ昨日のですよ」 隣の隊員が軽く言う。 「もう終わりましたって、それ」 少尉は答えない。 じっと画面を見たまま―― ほんの僅かに、目を細めた。 「……なるほど」 その一言だけが、やけに重い。 同時に。 彼女の右手は、たこ焼きを一つ、つまようじで持ち上げる。 湯気の立つ球体が、ゆっくりと空中へ。 そして左手は―― 迷いなく、スマートフォンを取り上げた。 一切の逡巡なく。 まるで最初から“そこに回線がある”と知っているように。 画面を見ることもなく、耳に当てる。 「……私だ」 今度は、はっきりと“通話の声”だった。 周囲の空気が、一瞬だけ止まる。 誰かが小声で言う。 「……え、今ほんとにかけた?」 「いや、でも発信音……」 鳴っていない。 だが、少尉は続ける。 「どうやら……連中は、偽装を選んだらしい」 視線はタブレットへ。 手にはたこ焼き。 耳にはスマホ。 三つの動作が、矛盾なく同時に成立している。 「……ああ」 わずかに頷く。 「合理的だ。人類は“冗談”を見逃す」 一拍。 たこ焼きを、ほんの少しだけ回転させる。 まるで観察しているかのように。 「……いや、問題ない」 声は低く、落ち着いている。 「こちらも、いつも通りに振る舞う」 沈黙。 誰も、箸を動かせない。 ただ一人、少尉だけが日常の延長にいる。 「……ああ、理解している」 そして。 「それが、世界の選択だな」 ほんのわずかに、寂しそうに笑う。 そのまま。 「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」 通話を切る仕草。 スマートフォンを、静かにテーブルへ置く。 ――画面は、暗いままだった。 数秒の沈黙。 「……今の、誰と……?」 「いや……かけてなかったよな……?」 ざわめきが戻る。 その中心で。 ぱくり。 少尉は、何事もなかったかのようにたこ焼きを口に入れた。 もぐもぐと咀嚼し、満足げに頷く。 タブレットには、まだタコ火星人の映像。 スマホは沈黙。 現実は平穏。 そのすべてを受け入れるように、彼女は微笑む。 「……美味しいですね」 にこり、と。 あまりにも自然で、あまりにも平和な笑顔。 その裏に何があるのか―― もう誰にも分からない。 次の一個を持ち上げながら、少尉はふと思う。 (――やつらは、いつでも繋がっている) 誰にも聞こえない、内なる声。 そして昼休みは、何事もなく続いていく。 ラ・ヨダソウ・スティアーナ。

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さかいきしお
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コメント

投稿
翡翠よろず

2026-04-02 20:04:24
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みやび

2026-04-02 19:45:39
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らびもも

2026-04-02 19:31:15
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しるばん

2026-04-02 19:26:01
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サントリナ

2026-04-02 18:56:49
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もみ

2026-04-02 18:52:02
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