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色収差の向こう側

2026-05-20 16:06:20

NovelAI

2026-05-20 16:06:20

NovelAI

42

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 51 位

参加お題:色収差
王都下町 王都新聞社(盗賊ギルド)の編集室は、今日も紙とインクと怒号に満ちていた。 「号外! “逆さ女”追加記事だってよ!」 「おい誰だ赤丸描いたの!」 「神殿から抗議きてるぞ!」 「どこの神殿だ!」 「全部だ!!」 机の山を挟み、編集員たちが怒鳴り合う。 その中心で。 「えー?」 狐耳を揺らしながら、ダキニラは呑気な声を上げた。 「これ、ただの色収差じゃない?」 手にしているのは、今朝刷り上がった新聞。 紙面中央には、昨夜の地下ライブハウス《ブラック・ミスト》の熱狂が大きく掲載されている。 銀髪の半妖吟遊司祭リリス。 青紫の照明。 熱狂する観客。 そして。 記事の端。 赤丸付きで拡大された写真。 天井梁から逆さにぶら下がり、ピースしている女。 黒髪長身。 赤マント。 完全にカメラ目線。 しかも輪郭が微妙に赤青にズレている。 「ほら。シャーリーさんだよね?」 ダキニラは新聞をひらひらさせた。 「ライブ中ずっと天井いたし」 編集員たちが一斉に振り向く。 「“いたし”じゃねぇよ!!」 「なんで誰も止めねぇんだ!!」 「いやぁ、シャーリーさんだし……」 その時。 編集室の隅で、若い記者が青ざめた顔をしていた。 「お、おい……」 誰も聞いていない。 「この写真……なんか変じゃないか……?」 机の上。 コーヒーの染みと原稿に埋もれた、一枚の没写真。 ライブ後の通路。 暗い。 ブレている。 ピンボケ。 だから誰も気にしていなかった。 だが。 写真の奥。 廊下の暗闇に。 何かが立っている。 人影。 ……に見える。 長い。 細い。 暗い。 輪郭が合わない。 赤と青と緑が、ずれている。 いや。 “ズレている”というより。 空間そのものが噛み合っていない。 見ていると、焦点が狂う。 若い記者が唾を飲む。 「……これ、本当に色収差か?」 返事はなかった。 ダキニラは新聞を読みながら笑っている。 編集員たちは抗議文に頭を抱えている。 誰も、その写真を見ていない。 ただ一人。 写真の上端。 天井近く。 そこに、小さく逆さにぶら下がる女がいた。 シャーリー。 だが。 いつもの胡散臭い笑みはない。 ピースもしていない。 ただ静かに。 暗闇の“それ”を見ていた。 「……あ」 若い記者の背筋を、冷たいものが走る。 その瞬間。 部屋のランプが、ぱちりと明滅した。 誰かが叫ぶ。 「おい原稿飛ぶぞ!!」 「窓閉めろ!!」 「インク倒したやつ誰だ!!」 騒ぎの中。 没写真だけが、静かに机の上に残っていた。 まるで。 “まだそこにいる” とでも言うように。

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さかいきしお
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コメント

投稿
もみ

2026-05-21 07:25:30
返信
999fun

2026-05-20 23:54:39
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早渚 凪

2026-05-20 23:37:04
返信
もぐっち

2026-05-20 23:23:44
返信
ガボドゲ

2026-05-20 23:14:58
返信
guest

2026-05-20 23:08:17
返信
kacky333

2026-05-20 22:44:20
返信
ゆのじ

2026-05-20 21:44:12
返信
うろんうろん -uron uron-

2026-05-20 21:17:29
返信
thi

2026-05-20 20:43:40
返信
Ken@Novel_ai

2026-05-20 20:21:29
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なおたそ

2026-05-20 20:01:47
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翡翠よろず

2026-05-20 19:55:52
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2026-05-20 17:31:10
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