蒼穹のフロンティア【星海の果てで、君に出会ってしまった――】
2026-07-07 01:06:54
対象年齢:全年齢
参加お題:七夕
二人は、出会ってしまった。
それまで互いの顔も、名前も知らなかった。
同じ宇宙に生きながら、敵対する者同士。
本来なら――
互いの存在さえ知らないままだった。
もし、あの日。
あの廃コロニーの中で出会わなければ。
アリシアは、グロフィスという男を知らなかった。
グロフィスもまた、アリシアという女性を知らなかった。
けれど二人は、出会ってしまった。
敵ではない姿を見た。
戦場では聞くことのない声を聞いた。
そして、互いの瞳の奥にあるものを知ってしまった。
それから二人は、幾度となく戦場で刃を交えた。
アリシアにとって、グロフィスは越えなければならない宿敵。
グロフィスにとってもまた、アリシアは決して退くことのできない宿敵。
誰よりも倒すべき相手。
それなのに――
誰よりも、その存在が心から離れない。
あの廃コロニーで出会わなければ、ただの敵でいられた。
素顔を知らなければ、迷うことなく刃を向けられた。
けれど、もう遅かった。
無数の星々が瞬く夜。
二人は、互いに手を伸ばす。
あと少し。
ほんのわずかに近づけば届く距離。
それなのに、そのわずかな距離は――
二人を隔てる戦争そのものだった。
やがて、触れ合う指先。
アリシアは静かにグロフィスの胸へ身を預け、グロフィスは何も言わず、彼女を強く抱きしめた。
それは約束ではなかった。
未来を誓うためでもなかった。
ただ、この広すぎる宇宙で――
二人が出会ってしまった、その事実を忘れないために。
やがて二人は、静かにその腕をほどく。
言葉は交わさない。
引き止めれば、もう戻れなくなることを知っていたから。
アリシアは前を向く。
グロフィスもまた、自らの道を見つめる。
そして二人は背を向けた。
一歩。
また一歩。
同じ場所で出会った二人が、今度は互いに違う道を歩き始める。
振り返らない。
振り返れば、きっと足を止めてしまうから。
今夜が終われば、再び宿敵に戻る。
次に出会う場所は、きっと戦場。
それでも――
この広すぎる宇宙で、二人は出会ってしまった。
出会わなければ、苦しむこともなかった。
知らなければ、迷うこともなかった。
けれど二人はもう、出会わなかった頃には戻れない。
無数の星々だけが見届ける中――
二人は背を向けたまま、
それぞれが選んだ、決して交わることのない道を進んでいく。
想いを残したまま。
再び、宿敵として出会うその日まで――。
★アリシアとグロフィスの初めての出会い★
蒼穹のフロンティア【蒼雨の邂逅】はコチラから
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