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スーパーソニア改五、雪山へ

2026-08-11 04:21:01

NovelAI

2026-08-11 04:21:01

NovelAI

37

対象年齢:全年齢

デイリー入賞: 49 位

参加お題:
 藍引島中央山岳地帯。  夏だった。  少なくとも、海岸のヤシの木はそう主張している。  しかし島中央部にそびえる山々は、完全に冬だった。  白銀の斜面。  吹き荒れる雪煙。  切り立った岩壁。  そして、その山中から救難信号が発信されていた。 「遭難者を確認しました」  無線機を片手に、ブロント少尉が眼下を見つめる。  黒い軍服。  黒いミニプリーツ。  ニーハイ。  金髪ポニーテール。  いつもの少尉だった。  ただし今日は、その上に雪山装備を追加している。  足元にはスキー。  背中には大型の救難用バックパック。  腰にはロープと救急用品。  無線機と発煙筒も装着済み。  そして少尉が乗っているのは――。  九九式襲撃機。  いや。 「スーパーソニア改五、接近します」  機内表示には、そう表示されていた。  旧式の陸軍襲撃機を徹底的に改修した、藍引島独自の魔改造機。  強化エンジン。  改良された短距離離着陸性能。  強化された機体構造。  最新式の無線・航法装置。  そして山岳救難用の物資投下装置。  見た目こそ古い。  だが中身は妙に新しい。  そして何より――。 「この機体なら、あの尾根にも入れます」  操縦士が答えた。 「ヘリを出せばいいのでは?」  若菜少尉の声が無線から入る。 「ヘリは維持費が高いので」 「……」 「スーパーソニアは稼働率が高いです」 「そこなんですか?」 「重要な問題です」  少尉は真顔だった。  実際、この機体は妙に丈夫だった。  古い。  燃費も特別良くない。  速度だって最新鋭機には敵わない。  それでも、多少荒れた滑走路でも飛べる。  整備も比較的容易。  そして何より――。 「壊れないんですよね、この子」 「そうなんです」  操縦士が嬉しそうに答えた。 「だから改五にして使い続けてます」  機体が雪煙を突き抜ける。  九九式襲撃機の古めかしい姿が、白銀の山肌すれすれを飛んでいく。  その姿だけ見れば、時代を間違えている。  だが翼下には救難物資。  機内には最新無線機。  そして後部には、山岳救助装備を満載した少尉。  奇妙な組み合わせだった。 「目標地点まで三十秒」 「了解」  少尉は立ち上がる。  背中の大型ザックを確認。  救急用品。  防寒用毛布。  携帯食。  飲料水。  固形燃料。  発煙筒。  ロープ。  必要な物は揃っている。  最後に足元を見る。  スキー。 「……問題ありません」  少尉は頷いた。  操縦士が叫ぶ。 「接近します!」  スーパーソニアがさらに高度を落とした。  プロペラの爆音が雪原を震わせる。  雪煙が渦を巻く。  眼下の岩陰から、遭難者たちがこちらを見上げている。 「救助機だ!」 「地球側の飛行機だ!」 「なんでこんな古そうなのが飛んでるんだ!?」  そんな声が聞こえた気がした。  少尉は気にしない。 「救難物資、投下します」  翼下のコンテナが切り離される。  小型パラシュートが開く。  白い雪原に、次々と物資が降りていく。  毛布。  食料。  水。  医療品。  燃料。 「続いて人員を投入します」  操縦士が叫ぶ。 「少尉、行けます!」 「了解!」  少尉は機外を見る。  眼下には雪。  そして急斜面。  普通なら、とても降りられる場所ではない。  だが――。  少尉はスキーを確認した。 「では、行ってきます」 「少尉!」  若菜少尉が無線で叫ぶ。 「帰りはどうするんです!?」 「……」  ブロント少尉は一瞬だけ考えた。 「スキーで降ります」 「それ帰投じゃなくて下山ですよ!」 「同じです」 「違います!」  操縦士が笑いを堪える。  スーパーソニアは雪煙の中を低空で通過する。  少尉は機外へ。  スキーが雪面に触れる。  ザッ――!  雪が大きく舞い上がった。  少尉の身体が前へ滑る。 「――投入成功!」  無線の向こうで声が上がる。  ブロント少尉は姿勢を安定させると、そのまま斜面を滑走した。  金髪が風になびく。  黒い軍服が雪原を切り裂く。  背中には救難物資。  目の前には遭難者。  そして頭上では、九九式襲撃機改五――スーパーソニアが旋回し、帰投していく。 「……」  少尉は無線を取った。 「こちらブロント。人員投入完了」 『了解。帰投します』 「はい」 『少尉、無事に戻ってくださいよ』 「もちろんです」  少尉は少しだけ笑った。 「私は山岳救助のプロですから」  その直後。  急斜面。 「――おっと」  ズザザザザッ!! 「少尉!?」 「問題ありません!!」  雪煙の中から声が返ってくる。 「予定通りです!!」 『何が!?』  夏の藍引島。  海ではヤシの木が揺れている。  その一方で山では吹雪。  そして雪山を滑走する、黒軍服の女性士官。  頭上には、なぜか現代まで現役で飛び続ける九九式襲撃機。  藍引島では、今日も季節と時代の辻褄が合っていなかった。

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さかいきしお
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コメント

投稿
Ken@Novel_ai

2026-08-13 20:06:37
返信
クマ×娘 D.W

2026-08-13 15:50:40
返信
えどちん

2026-08-12 07:18:01
返信
白雀(White sparrow)

本当になんでもありですな,この島も,少尉も。

2026-08-11 21:43:14
返信
tare_koala

襲撃機でブロント少尉を投下する発想が凄い。

2026-08-11 19:41:04
返信
guest

2026-08-11 16:11:55
返信
もぐっち

2026-08-11 11:54:29
返信
もみ

2026-08-11 11:28:28
返信
ippei

空挺スキー隊

2026-08-11 09:30:08
返信
Anera

2026-08-11 08:58:22
返信
ガボドゲ

2026-08-11 08:53:16
返信
kacky333

昭和の機械は頑丈です… (^^;

2026-08-11 07:48:05
返信
サントリナ

2026-08-11 04:38:55
返信
しるばん

2026-08-11 04:32:00
返信
Rin

2026-08-11 04:26:42
返信

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