美食巫女、歌い手デビュー!? 驚異の声量、壊滅的な音程!
2026-10-17 02:40:39
対象年齢:全年齢
参加お題:カラオケ
魔導カラオケハウス「シング・オルゴール」。
きらめく魔導装置。宙を舞う音符。小さなステージで、緑髪の美少女がマイクを握りしめる。
「~~~~♪」
チェルキー、熱唱!
満面の笑顔で歌い上げる姿は、まさに歌姫。声量も度胸も申し分ない。
……音程を除けば。
「……お前さんの連れ、いい声してるな」
ボスは食事を続けながら、向かいのシャーリーに囁いた。
「歌い手として磨けば、よい玉かもしれませんな。下手だけど」
「ふむ。度胸も腕っぷしも見た目も申し分なし。ドロドロの興行界でも渡っていけそうだ。下手だが」
「ふひひひ。見た目で男を引き寄せ、腕っぷしでチンピラを黙らせ、歌で客を引かせる。最強ですな。下手だけど」
「うぷぷぷ……美食巫女様、歌い手デビュー! これは記事になるかな~」
ダキニラは手帳にペンを走らせた。
もちろん、三人が本当に話し合っているのは興行界のことではない。
「例のキノコだが、どうやら下町だけの話じゃねえ。学院の近くにも流れているらしい」
シャーリーは料理を口に運びながら答える。
「ふむ。売人だけを捕まえても、元締めには届きませんな~」
「うぷぷ。流通経路を洗えば、仕入れ先も見えてくるかな~」
騒がしい店内は盗み聞きされにくい。スカウト技能に長けた三人なら、歌声の中でも小声の会話に支障はない。
ただし、ステージ上の本人は別だった。
「やったー! 次の曲もいきますよー!」
チェルキーは元気いっぱいに選曲クリスタルを押した。
「で、次の取引はいつだ?」
「明後日の夜という情報がありますぞ」
「場所は?」
「まだ確認中ですな~」
「今度はもっと盛り上がっちゃいましょう!」
「……ああ。盛り上がってるな」
ボスは、わずかに震える魔導水晶を見やった。
違法薬物の捜査は順調。
歌唱力の捜査については、早急な追加調査が必要だった。
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