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メイドは歩け、生徒は飛ぶな?

2026-10-18 02:03:40

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2026-10-18 02:03:40

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2

対象年齢:全年齢

参加お題:ミニスカート
「は~い、おぢさん。お飲み物をお持ちしましたよ~♪」  夜会の大広間。メイド服姿のリンファが、銀盆とビールのジョッキを手に、ふわふわと空中を飛んできた。  背中の小さな翼がぱたぱたと動き、青緑色のツインテールが夜風に揺れる。  賢者の学院スカウト科の護衛任務として、メイド姿で潜入していたのだが……  本人はご機嫌だった。人混みを避けられるし、空いているテーブルも上から一目で分かる。歩くよりずっと便利だ。  豪奢な椅子に腰掛けた中年貴族は、口ひげを撫でながらリンファを見上げた。いかにも好色そうな顔つきである。  ところが、彼の口から飛び出したのは、意外な苦言だった。 「チミィ、メイドは歩くものだぞ」 「え~? でも、飛んだ方が早いですよ~?」 「給仕というものは、きちんと歩いて品物を運ぶものだ。空を飛んで運ぶのは感心せんな」 「はぁい?」  リンファは首を傾げながら、ジョッキを差し出した。  少し離れたところで、応援で警護に当たっていたリリスは、銀髪をかき上げ、冷めた目でその光景を眺めていた。 「……そこを注意するのかよ」  もっとほかに言うことはないのか。  いや、ある。山ほどある。  だが、そこを注意するのか。  リリスは考えるのをやめた。  翌朝。賢者の学院の中庭。 「今日はいい天気ーっ! 飛ぶの、気持ちいいーっ!」  リンファは青空へ舞い上がった。  翼を広げ、風を受け、ツインテールをなびかせる。  昨日の夜、貴族のご主人様(仮?)に「メイドは歩くものだ」と注意されたことなど、本人の中ではすでに過去の話らしい。  そもそも今日はメイドではない。学院のスカウト学生だ。  ならば飛んでも問題ない。たぶん。きっと。 「……あのバカ」  地上で見上げていたリリスが、顔をしかめた。  昨日は給仕中に飛び回り、今日は朝から学院の中庭で飛び回る。  場所と服装が変わっただけで、やっていることは何も変わっていない。  リリスは近くにいたシャーリーの肩をつかんだ。 「おい、シャーリー。おめえ、あのガキ悪魔のせんこ~だろ? 何とかしろ!!」 「むう……」  シャーリーは腕を組み、空を見上げた。  真剣な顔だった。 「翼で飛翔するインプ族の生徒が、スカート姿で校内を飛び回る……」 「そうだろ? だから、飛び方の指導でも――」 「なっ、なんということでしょうか……!」  シャーリーは愕然とした表情で、しばし考え込んだ。  リリスは思わず口を閉じた。  おや。こいつにしては、まともなことを考えているのかもしれない。  シャーリーはゆっくりと顔を上げた。 「リンファ殿!!」  シャーリーが、びしっと空中のリンファを指差した。 「激しく飛び回るならば、スカートの下には防裾短袴を履きなさい!!」 「…………え?」  リンファは空中で固まった。  シャーリーの手には、濃紺の訓練着が握られていた。  幅広のゴム入りウエストに、短く丸みを帯びた脚口。装飾も刺繍もない、実用一点張りの簡素な形状である。 「賢者の学院の正式な訓練着ですぞ!」  シャーリーは、それが何か問題でもあるのかと言わんばかりに胸を張った。 「飛翔訓練においても、服装規定は守らねばなりません。規律とは、誰も見ていないときにこそ守るものですぞ!」 「そっちじゃねえ!!」  リリスの怒声が中庭に響いた。 「飛び回るなっつってんだよ! 服装の話なんかしてねえだろうが!!」 「おや。そうでしたかな?」 「おや、じゃねえ!!」  シャーリーはきょとんと首を傾げた。  リンファは二人を見比べ、シャーリーの手元にあるブルマをじっと見つめた。  そして、いつもの悪戯っぽい笑みを浮かべる。 「せんせ~だって履いてないじゃん!!」  ひゅんっ!  リンファはシャーリーの背後へ回り込んだ。 「えいっ!」 「ひゃあっ!? こらっ、リンファ殿! 講義中ですぞ!」  突然の悪戯に、シャーリーのありがたい飛行講義は開始早々に崩壊した。 「……もういい。あたし帰るわ」  リリスは首を傾げ、片手でこめかみを押さえた。怒る気力すら惜しくなった顔だった。  昨日は、好色そうな貴族が給仕作法を注意した。  今日は、教師がブルマの着用を指導している。  肝心のリンファは、今日も元気に飛んでいる。 「……あのガキ、次は何をやらかすんだか」  リリスのぼやきは、抜けるような青空に吸い込まれていった。  賢者の学院の中庭は、本日も平和である。  たぶん。

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さかいきしお
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コメント

投稿
Anera

最後、アングルは後ろからでしょ!

2026-10-18 04:12:14
返信
みやび

2026-10-18 04:08:08
返信

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