コカトリスは夕飯です。
2026-03-24 03:12:33
対象年齢:全年齢
参加お題:サイドテール
アイピク島の夕暮れは、だいたい穏やかに終わるはずだった。
焚き火の上で鍋が静かに音を立て、
チェルキーは木のスプーンで中身を確かめる。
「今日は軽めでいいよね。採集だけでも十分だし」
その言葉に、対面でごろりと寝転がっていた
ぷーにゃんが、だらけた声で返す。
「肉が足りないクマ……」
その瞬間だった。
――バタバタと足音。
慌てた伝令がキャンプに飛び込んでくる。
「緊急!アイピク島北部に――大型モンスター出現!コカトリスです!!」
一拍の沈黙。
そして。
ぷーにゃんの目の色が、変わった。
「……コカトリス?」
ゆっくりと体を起こす。
銀髪がさらりと流れ、次の瞬間――
さっと左側で束ねられる。
「……サイドテール、確認クマ」
ぼそりと呟いて、立ち上がる。
チェルキーが眉をひそめる。
「まってよ、その反応おかしいって」
ぷーにゃんは聞いていない。
「大きいクマ?」
「え、うん……かなり大きいって話だよ」
「美味しそうクマ」
即答だった。
次の瞬間、どこからともなく――
**“あの弓”が現れた。**
身の丈に迫る、異様に巨大で頑丈なコンポジットボウ。
「……それ、どこから出したの?」
「いつものところクマ」
説明になっていない。
ぷーにゃんは弓を軽々と肩に担ぎ、にこりと笑う。
「行ってくるクマ」
「まって、せめて作戦くらい――」
その言葉が終わる前に、彼女はもう森へと消えていた。
風を切る音だけを残して。
チェルキーは一つため息をつく。
「……はあ。どうせまた、運んでくるんでしょ」
---
――数刻後。
森の奥。
木の根と岩がむき出しの足場を、
ぷーにゃんは疾走していた。
前方には――
巨大な影。
ニワトリのようでいて、明らかに違う。
牙のような嘴、爬虫類めいた目、そして何より――**でかい。**
テラノサウルス級、と言っていい。
コカトリスが咆哮を上げ、地面を抉る爪で跳びかかる。
普通なら、逃げる。
あるいは距離を取る。
だが。
ぷーにゃんは加速した。
「近づくと危ないクマ!」
叫びながら、さらに踏み込む。
(※言ってることとやってることが一致していない)
振り下ろされる蹴爪。
その軌道を、紙一重で――
**躱す。**
同時に、空中で体をひねる。
弓が引き絞られる。
異様なまでの張力。
普通の人間なら、引けない。
だが彼女は軽やかに。
「撃てばいいクマ!」
――放つ。
矢は一直線に、空気を裂き、
コカトリスの眼へ。
次の瞬間。
巨体が、止まった。
そのまま、ゆっくりと崩れ落ちる。
静寂。
ぷーにゃんは着地し、満足げに頷いた。
「……大きいクマ」
---
さらに数刻後。
キャンプ。
ずり、ずり、と重い音が近づいてくる。
チェルキーは振り向き、
そして、額を押さえた。
「……やっぱりだよね」
そこには。
巨大なコカトリスを引きずるぷーにゃんの姿。
満面の笑みである。
「大物獲れたクマ!」
「それ、一人で運んできたの?」
「クマだから余裕クマ!」
意味はよく分からないが、説得力はあった。
チェルキーはため息をつきながらも、すでに視線は獲物を観察している。
「……うん、状態いいね。脂のりも悪くなさそう」
職人の目だった。
「痺れる毒は大丈夫クマ?」
「ちゃんと火を通せば大丈夫だよ。任せて」
「さすがクマ!」
「ドワーフだってば」
---
そして。
しばらく後。
焚き火の上には――
**黄金色に焼き上がったコカトリス料理。**
手羽先だけで、テーブル一杯にあるけど。
皮はパリッと、肉はジューシーに。
湯気とともに、食欲を刺激する香りが広がる。
チェルキーが皿を差し出す。
「できたよ」
ぷーにゃんの目が輝いた。
「焼けたクマ!!」
「ちゃんと火は通してあるから安心してね」
次の瞬間。
ぷーにゃんは迷いなくかぶりついた。
「……美味しいクマ!!」
その声に、チェルキーは小さく笑う。
「でしょ」
焚き火が静かに揺れる。
戦いも、狩りも、料理も。
すべてが――彼女たちの日常だった。
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コメント
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コカトリスの肉はゴムみたいな味がするとの評判じゃがアイピク島のはどんな味かのう~?🍽
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